価格的にも魅力的な、A6オールロードのスケールダウン
自動車に対する人間の趣味趣向というものは、時として合理性とは相反するものだ。ここ数年、地球温暖化を憂慮し、CO2排出量を減らさなければならないと多くの人たちが考えているはずなのだが、各国の自動車市場では大きくて重いSUVは相変わらず売れているし、とくに、罪悪感の少ない、言い訳のできるコンパクトSUVは、確実に伸びている。
こうした状況下で、アウディが2000年からSUVの代案として市場に送り込んでいるオールロードという商品が意味を持ってくる。A6アバントをベースにしたクロスオーバーモデルは、昨年(編集部註:2008年)全世界で1万1000台を販売した。数は多くないが、今後さらに厳しくなる環境下で、需要は増える可能性はある。
そしてアウディは一歩進んだ形で具体案を提示した。A4オールロードクワトロである。これならばコンパクトSUVに価格的にも対抗できるし、先に同社から発売されたオーセンティックSUVのQ5と競合する可能性も少ないというわけだ。
A4アバントをベースにしたオールロードクワトロは、コンセプトも含め当然のことながら兄貴分のA6オールロードのスケールダウンモデルである。ただし若干の違いはエクステリアに発見される。たとえばフロント中央のマッドガードには、スポイラー状に車幅いっぱいにアルミ風プロテクターが取り付けられている。またリアエンドのプロテクターというかディフューザー風のフィニッシャーも、ツインマフラーカッターを取り囲むほどワイドに広がっている。
一方、18インチタイヤを囲むプラスチック製のホイールアーチやQシリーズと同じ縦のラインを強調したメッシュグリルなどの意匠は共通で、オフロードファミリーである証しとなっている。
ボディサイズは全長4721mm、全幅1841mm、全高は1495mmと、A4アバントよりわずかに大きいが、これは主にオフロードを演出するアプリケーションによるもの。また悪路の走破性を考えて地上高は37mm上がって180mmとなったが、前後のトレッドがそれぞれ20mm広がったためか腰高には見えない。