クルマの性能は最終的にはタイヤに依存する。そしてタイヤは消耗品でもある。最初は高性能であっても、摩耗や製造年によって劣化してくる。ここでは、その性能の寿命と判断について解説する。

タイヤのスリップサインが一番わかり易いチェックポイント

タイヤの性能を左右する要素はいくつかある。その中でも大きな比重を締めるのがトレッドコンパウンド(ゴム)の性質と、そこに刻まれるトレッドパターン(溝)だ。大まかに言えばトレッドコンパウンドがドライ路面の性能、トレッドパターンが雨天での排水性能を決める。

画像: タイヤのチェックポイントはいくつかあるが、摩耗という点で気にして置きたいのがスリップサイン。トレッドパターンは排水性を担保する部分なので、とくに注意したい。

タイヤのチェックポイントはいくつかあるが、摩耗という点で気にして置きたいのがスリップサイン。トレッドパターンは排水性を担保する部分なので、とくに注意したい。

寿命という面で見ると、見た目でわかるタイヤの寿命はトレッドパターンの摩耗だ。夏タイヤの場合、スリップサインが出てくると摩耗限界となる。具体的には残溝が1.6mm以下となっていることを示し、車検でも整備不良とみなされる。こうなったらタイヤを速やかに新品に交換することが必要となる。とくにウエット路面では、ハイドロプレーニングという危険な現象が起きることになるからだ。

トレッドパターンが残っていても、クルマにあまり乗らない場合にタイヤ自体が劣化していることもあるので注意が必要だ。チェックポイントは、タイヤのトレッド部やショルダー部のひび割れになる。コンパウンドの硬化によってグリップ力が低下するだけでなく、パンクやバーストに繋がりかねない。一般的に、製造から5年程度経過したタイヤは、使用期限が来ていると考えて交換することをお勧めする。

画像: 「きちんと知りたい!自動車メンテとチューニングの実用知識(飯嶋洋治 著/日刊工業新聞社)」より転載

「きちんと知りたい!自動車メンテとチューニングの実用知識(飯嶋洋治 著/日刊工業新聞社)」より転載

コンパウンドを硬化させない、またタイヤを長持ちさせようとするならば、適度に走行することでタイヤの柔軟性を保つこともできるので、急激に摩耗するような激しい走りをしないよう、適度にドライブするのが良さそうだ。

最後にもうひとつ。タイヤ摩耗による変化は、トレッドパターンの溝の減少だけでない。厳密に言えば、摩耗した分だけタイヤ外径が小さくなっていることにもなる。これはつまり、路面と接触する面積が小さくなることを意味する。現実にドライ路面の日常走行で、これによる性能の違いを感じることはほとんどないが、たとえば急ブレーキや緊急回避するなどの非常時に影響することが考えられる。こうした性能低下も踏まえて、適切な時期に交換することが重要となる。(文:Webモーターマガジン編集部 飯嶋洋治)

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