CO2だけでなくサステイナビリティーのあらゆる分野に取り組む
2030年オール電動化を掲げるボルボ・カーズは、動物福祉のための倫理面を重視し、これから登場する電動化モデルすべてのインテリアに、レザー(本革)を使用しない「レザーフリー」とすることを目標に掲げた。その先駆けとなるのが、2021年3月に発表された、ボルボ初のBEVとなるクロスオーバータイプの新型「C40リチャージ」だ。
レザーを使用しないインテリアへの移行は、森林破壊をはじめとする畜産による環境への悪影響への懸念から進められている。人間活動による世界の温室効果ガス排出量の約14%を家畜が占めていると言われており、その大部分は畜産によるものといわれている。
そうした中、ボルボ・カーズは、革製のインテリアオプションの代わりに、バイオベースやリサイクルソースから作られた高品質なサステイナブル素材などの代替品として使う姿勢を示したのだ。
その代表例が、新たに開発されたインテリア素材「Nordico(ノルディコ)」だ。ペットボトルをはじめとするリサイクル素材や、スウェーデンやフィンランドの持続可能な森林から採取された生物由来の素材、そしてワイン産業からリサイクルされたコルクなどを使用した繊維だ。
これは、プレミアムインテリアデザインの新たな基準と位置付けられ、次世代ボルボ車での採用が予定されている。さらに、責任をもって調達を行っていると認定されたサプライヤーからのウールブレンドのオプション提供も行う。
ボルボ・カーズのグローバル サステイナビリティ ディレクターであるスチュアート・テンプラー氏は、「先進的な自動車メーカーであることは、CO2排出量だけでなく、サステイナビリティのすべての分野に取り組む必要があることを意味しています。責任ある調達は、動物福祉への配慮を含め、その重要な部分を占めています。電気自動車にレザーを使用しないことは、この問題に取り組むための次のステップです」とその意義について語る。
また、プラスチックをはじめ、ゴム、潤滑剤、接着剤などの材料の一部として、あるいは材料の製造や処理におけるプロセスケミカルとして、一般的に使用されている家畜生産からの副産物の使用を減らすことにも目を向けている。それは、レザーフリー化だけで、車のインテリアをヴィーガン(動物からの搾取をやめる)にすることはできないと考えているからという。
スチュアート・テンプラー氏はさらに「動物福祉をサポートする製品や素材を見つけるのは難しいことですが、だからといってこの重要な問題を避ける理由にはなりません。これは行く価値のある旅です。真に進歩的で持続可能な考え方を持つということは、自分自身に難しい質問を投げかけ、積極的に答えを見つけようとする必要があるということです」とも述べている。