クルマを運転していて大型トラックの後ろに着くと、大きなデフケースとタイヤに向かうホーシング(ハウジング)、そしてそれを支えるリーフスプリングを見ることができる。シンプルで「ごつい」この形式がリーフリジッド式サスペンションだ。

リーフリジッドはリーフスプリング自体がアクスルを支える

現代の乗用車には見られないものの、トラックのリアサスペンションによく見られるのが、バネにリーフスプリングを採用したリーフリジッド式サスペンションだ。

リーフスプリングは、いわゆる「板バネ」のこと。板状の鋼などを複数枚重ねたもので荷重を支える。コイルスプリングに比べてしなやかさで劣るが、とくに昭和時代においてはスポーティカーのリアサスペンションとして普通に用いられてきた。

■リーフスプリングの構造

画像: リーフスプリングは板状の鋼板を重ねた構成になる。リーフの硬さや枚数によってスプリングレートが違ってくる。(「きちんと知りたい!自動車サスペンションの基礎知識 (飯嶋洋治 著/日刊協業新聞社)」より転載)

リーフスプリングは板状の鋼板を重ねた構成になる。リーフの硬さや枚数によってスプリングレートが違ってくる。(「きちんと知りたい!自動車サスペンションの基礎知識 (飯嶋洋治 著/日刊協業新聞社)」より転載)

このサスペンション方式の基本的な構成は、フレームにリーフスプリングを取り付け、そこにアクスル(駆動輪の場合はホーシング)を取り付けて、ショックアブソーバーを装着するというシンプルなものだ。

昭和40年代のファミリーカー、スポーティカー問わず、リアサスペンションはリーフリジッド式が用いられていた。

リーフスプリングをフレームと接続するために、一番フレームに近い側のリーフの端が丸く加工され、この部分をスプリングアイと呼ぶ。そしてフレームとスプリングの間を取り持つパーツとしてシャックルが取り付けられる。リーフスプリングがたわむことによるスパン(リーフスプリング両端にあるスプリングアイの間の直線距離)の変化をシャックルが吸収するのだ。

重ねたリーフスプリング同士が当たることで、異音が発生するデメリットはあるが、そのときに発生する摩擦がスプリングの振動を減衰する(ショックアブソーバーの役割をする)板間摩擦が発生するなどのメリットもあった。

画像: 「きちんと知りたい!自動車サスペンションの基礎知識(飯嶋洋治 著/日刊剛業新聞社)」より転載。

「きちんと知りたい!自動車サスペンションの基礎知識(飯嶋洋治 著/日刊剛業新聞社)」より転載。

とくにデフを伴ったホーシングをリーフスプリングで留めた駆動輪にこの方式を用いた場合、これを開発した自動車メーカー「オチキス社」にちなんでオチキスドライブ(ホチキスドライブ)方式と呼ぶこともある。

リーフリジッド式はシンプルな構造のため頑丈であり、スプリングの枚数を多くすれば大きな荷重に耐えられることから、大きな積載力を必要とする商用車において現代でも欠かせないサスペンション形式である。(文:Webモーターマガジン編集部 飯嶋洋治)

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