「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、マクラーレン MP4-12Cだ。

F1マシンの血統を感じさせる一体感

画像: ハンドル位置は右/左とも設定されている。センターダッシュなどにはCFRPも多用して軽量化が図られている。

ハンドル位置は右/左とも設定されている。センターダッシュなどにはCFRPも多用して軽量化が図られている。

すべてはモノセルから始まったと言っていいだろう。そして、600psを発生するV8ツインターボエンジンから7速DCT、シャシ、ボディ、ビスの1本に至るまで、純マクラーレンでこだわり抜いた。その意味するところは明快だ。

軽いことは、すべてに優る。カーボンシートなど軽量アイテムをすべて注ぎ込んで、その重量はわずか1.3トン。スポーツカー好きの読者なら、パワーウエイトレシオを計算して驚くだろう。その値、わずかに2.17kg/ps!

驚愕のパフォーマンスに初めて触れたのは、ポルトガルのアルガルヴェサーキットだった。アップダウンのきつい、ブラインドばかりのテクニカルサーキット。そこで600psをリアミッドに搭載した2WDのスーパーカーのキーを託されて、怯むなという方が無理な注文だ。だが、肩に力が入ったのは最初の1周半くらいで、そこから先は、お腹いっぱいになるまでMP4-12Cのサーキット走行を満喫した。

とにかく、もの凄い一体感だ。以前に型落ちのF1マシンに乗ったことがあるけれど、明らかに血のつながりを感じる。ドライバーがモノセルと融合し、自由自在に手(前輪)と脚(後輪)を制御できる感覚。だからこそ、600psものパワーを、ためらうことなく路面へと放出できたのだ。ブレーキステアなどF1技術直系の電子制御システムの助けを借りれば、ミッドシップカーのスポーツドライブが以前より十倍以上うまくなったと感じる。

しかも、街中では驚異的に乗り心地が良い。MP4-12Cは、まちがいなくスーパーカーの新境地を行くモデルとなるだろう。

画像: リアエンドのウイング部はブレーキング時には立ち上がり、エアブレーキとしても作動する。

リアエンドのウイング部はブレーキング時には立ち上がり、エアブレーキとしても作動する。

■マクラーレン MP4-12C(欧州仕様) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4505×1910×1200mm
●ホイールベース:2670mm
●車両重量:1301kg
●エンジン種類:V8 DOHCツインターボ
●排気量:3799cc
●最高出力:441kW<600ps>/7000rpm
●最大トルク:600Nm<61.2kgm>/3000-7000rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●EU総合燃費:8.5km/L
●タイヤサイズ:前235/35R19、後305/30R20

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