2009年、4代目メルセデス・ベンツ Eクラスのクーぺモデル「Eクラスクーぺ」が登場した。EクラスのクーペモデルとしてW124以来、約14年ぶりの復活だった。メルセデス流のクーペの作法に則り、サイドウィンドウを最後まで開くことができるピラーレスハードトップのキャビンを採用。そこには新型Eクラスに共通するデザインモチーフが随所に散りばめられていた。ここでは日本のメディア向けにドイツ・シュツットガルトで行われた試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年7月号より)

荒れた路面でも入力をしなやかに収束させる

走り出したE500クーペは、事前に聞かされていたように極めて快適だった。クーペにエアサスの設定はなく、試乗車は20mmローダウンのスポーツサスペンションを装備していたのだが、ともかく乗り心地が滅法いい。路面の継ぎ目をゴツゴツと伝えてくるような粗さは皆無だし、コンクリートが剥離したような大きめの段差も当たりが優しく、しかも嫌な余韻などは一切残さずしなやかに収束させてしまう。

このE500クーペにはオプションのダイナミックハンドリングパッケージも装備されていた。これは各タイヤのダンパーを個別に調節するのに加え、サスペンション、アクセルレスポンス、AT制御をノーマルとスポーツの2モードで切り替える。さらにステアリングのギアレシオも若干速い。

つまり今回の乗ったE500クーペは最もスポーティな仕様だが、それでも乗り心地は十分にマイルド。ノーマルモードはもちろん、スポーツモードでも荒さを感じることはまったくなかった。

しかも、ハンドリングも甘くはない。ステア応答性はさほど敏感ではないが、どっしりとした味わいの中にも正確に向きが変わる気持ちよさがある。ザラついた感触をうまくフィルタリングしながら、掌に明確な接地感を伝えてくるのも前説の通りだ。

5.5LのV8エンジンはゴロゴロとした迫力の排気音を聞かせるが、アクセルを踏んだ時の反応はジェントルで、飛び出し感はしっかり抑えてある。もちろん深く踏み込めば500Nmのトルクが即座に沸き上がり痛快だが、普段はそれを隠し、ゆったりと落ち着いて走りを楽しむのが、このクルマに相応しい付き合い方だろう。なお、このE500クーペは、日本導入時にはE550クーペと呼ばれるそうだ。

E350CGIブルーエフィシェンシークーペも、フットワークはE500で感じたしなやかさを基本としたもの。ただ、怒濤のトルク感こそないものの、スプレーガイデッド式直噴の3.5L V6エンジンは回すほどにイキイキとしてくるタイプで、よりスポーティに走りたい人に好適なモデルとなりそうだ。なお、日本に導入される当初は、この直噴CGIエンジンではなく、しばらくは既存のポート噴射式が搭載されるということだった。

Eクラスクーペもセダン同様、数々のドライバー支援システムを採用している。2種のレーザーセンサーで車間を検知し、近過ぎる場合は警告を発するとともに、必要に応じてブレーキを掛けるディストロニックプラス。これは既存のブレーキアシストプラスやプレセーフを統合したものだ。また、ステアリングなど70もの情報を元に居眠りを警告するアテンションアシスト、走行状況に応じてヘッドライト照射を連続的に制御し、ハイビームの自動切り替えなども行うアダプティブハイビームアシストなど、枚挙に暇がないほどの技術が搭載されている。

今回の試乗で体験できたのは、速度標識を読み取りマルチインフォメーションに表示するスピードリミットアシストや、ディストロニックプラスの車間距離警告機能、それにセンターラインを踏むと車線逸脱をステアリングの振動で教えるレーンキーピングアシストくらいだったが、こうした豊富なドライバー支援システムが、Eクラスクーペのゆったりと落ち着いた走りを強力にサポートしているのは間違いない。

クーペは優雅な乗り物。メルセデス・ベンツ Eクラスクーペはそんな事実を改めて想い起こさせてくれるはずだ。流麗なスタイルと余裕の居住性を備えたことにより、日本でも子離れ世代(2名分のリアシートも十分実用になるが)の興味を喚起する可能性は十分ある。

残念だったのは、日本導入の可能性もある1.8L直噴ターボのE250CGIブルーエフィシエンシークーペを今回は試せなかったこと。出力/環境性能とも高い知的なモデルだけに興味は尽きない。そんな部分も含めて日本上陸が楽しみな一台である。(文:石川芳雄)

画像: スポーティかつエレガントなスタイリングに身を包んだ美しい2ドアクーぺ。EクラスとCクラスをベースに開発された。

スポーティかつエレガントなスタイリングに身を包んだ美しい2ドアクーぺ。EクラスとCクラスをベースに開発された。

メルセデス・ベンツ E500 クーペ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4698×1786×1397mm
●ホイールベース:2760mm
●車両重量:1715kg
●エンジン:V8DOHC
●排気量:5461cc
●最高出力:285kW(388ps)/6000rpm
●最大トルク:530Nm/2800-4800rpm
●トランスミッション:7速AT
●駆動方式:FR
●EU総合燃費:9.2km/L
●タイヤサイズ:前235/40R18、後255/35R18
●0→100km/h加速:5.2秒
●最高速度:250km/h(リミッター)
※EU準拠

メルセデス・ベンツ E350CGI ブルーエフィシェンシー クーペ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4698×1786×1397mm
●ホイールベース:2760mm
●車両重量:1670kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:3498cc
●最高出力:212kW(292ps)/6400rpm
●最大トルク:365Nm/3000-5100rpm
●トランスミッション:7速AT
●駆動方式:FR
●EU総合燃費:11.8km/L
●タイヤサイズ:235/45R17
●0→100km/h加速:6.5秒
●最高速度:250km/h(リミッター)
※EU準拠

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