2021年11月6日土曜日、WEC(世界耐久選手権)第6戦最終戦バーレーン8時間がバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われ、8号車トヨタGR010 ハイブリッド(S.ブエミ/中嶋一貴/B.ハートレー)が優勝、7号車(M.コンウェイ/小林可夢偉/J.M.ロペス)が2位で続き、コンウェイ/小林可夢偉/ロペスがハイパーカー新時代最初のドライバーズチャンピオンに輝いた。なお、すでにトヨタはチームタイトルを確定していたが、この勝利によりWEC史上初のシーズン全勝という新たな記録を打ち立てることになった。

中嶋一貴がラストレースを勝利で飾り有終の美

バーレーンの2連戦の全てのセッションを1-2で占める完璧な戦いを見せてきたトヨタGR010 ハイブリッドの2台は、スタート直後、36号車アルピーヌに先行を許すこととなったが、10周目に2台揃ってオーバーテイクして1-2体制を確立すると、その後はライバルの追撃を許すことはなかった。

トヨタの2台戦いは、8号車が首位、7号車がそれを追うという展開となったが、6時間が経過した頃、8号車にギアシフトのトラブルが発生。それでも8号車はピットイン時にステアリングの交換作業を済ませると、首位を守ることに成功。最終スティントでは今シーズンでWECのドライバーズシートから降りることが決まった中嶋一貴のドライブ、8号車が見事に優勝を飾った。

画像: 最終スティントでは今シーズンでWECのドライバーズシートから降りることが決まった中嶋一貴のドライブ、8号車トヨタGR010 ハイブリッドが見事に優勝を飾った。

最終スティントでは今シーズンでWECのドライバーズシートから降りることが決まった中嶋一貴のドライブ、8号車トヨタGR010 ハイブリッドが見事に優勝を飾った。

そして、その7.351秒後にはロペスの駆る7号車が2位でフィニッシュし、この瞬間、7号車の小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスの3名が2021年ドライバーズチャンピオンに輝くことになった。小林はこれで4輪レースで初めて2度の世界チャンピオンを獲得した日本人ドライバーとなった。

またこの勝利でトヨタは、WEC史上初のシーズン全戦優勝、9戦連続勝利を記録した。

小林可夢偉(トヨタGR010 ハイブリッド 7号車):

「今日の結果には満足しています。再びマイクとホセとともに勝ち取った世界チャンピオンは最高です。このタイトル獲得を支えてくれたチーム関係者に感謝しています。8号車は今年毎回とても強く、彼らは最高のライバルでした。ずっとぎりぎりの戦いをしてきましたが、常にフェアに、お互いに敬意を払いながら戦ってきました。その素晴らしいチームワークが、最高のパフォーマンスを引き出したのだと思います。一貴はここバーレーンでも最後まで集中を切らさず、素晴らしい走りでした。彼とは若い頃から一緒にレースをして育ってきたので、彼がWECキャリアを勝利で締めくくることができたのは嬉しく思っています」

画像: 昨年に続き、2度目の世界チャンピオンとなった小林可夢偉。最終戦バーレーン8時間で予選ポールポジションを獲得。

昨年に続き、2度目の世界チャンピオンとなった小林可夢偉。最終戦バーレーン8時間で予選ポールポジションを獲得。

マイク・コンウェイ(トヨタGR010 ハイブリッド 7号車):

「2度の世界チャンピオン獲得ドライバーの仲間入りができ、最高の気分です。2年連続でのタイトルですし、特に今年はついにル・マンも勝てたので格別です。この1年、ともに戦ってきた最高の仲間である可夢偉とホセ、そして、チームクルーを誇りに思います。今日のレースでは、我々も全力で8号車に挑みましたが、彼らが勝りました。彼らとのレースは常に最上の喜びであり、そこから一貴がいなくなってしまうのは不思議な気分です。彼とのレースは最高でした」

画像: 最終戦バーレーン8時間で最後のスティントをドライブしたマイク・コンウェイ。

最終戦バーレーン8時間で最後のスティントをドライブしたマイク・コンウェイ。

ホセ・マリア・ロペス(トヨタGR010 ハイブリッド 7号車):

「チームと8号車のクルー、そして遠くからサポートしてくれた、東富士とドイツ・ケルンの関係者全員に祝福を送ります。彼らやマイクと可夢偉の存在なくしては、タイトル獲得を成し遂げることはできなかったでしょう。正直なところ、このチームの一員としてレースに勝ち、チャンピオンを獲得できたことは本当に幸運だったと思っています。関わってきた全ての人に感謝します。一貴は本当に素晴らしいドライバーであり仲間で、彼がいなくなるのはとても寂しいです。一貴、セブとブレンドンは今シーズン本当に強敵でした。今日の勝利は彼らにふさわしいです」

画像: 小林、コンウェイとともに7号車をドライブしたホセ・マリア・ロペス。

小林、コンウェイとともに7号車をドライブしたホセ・マリア・ロペス。

今シーズンでWECのドライバーズシートから降りることが決まり、このレースがWECでの最後となった8号車中嶋一貴は「このような最高の結果でWECのキャリアを終えることができ、本当に嬉しいですし、最高のチームメイトに恵まれた私は幸運でした。チームとして最後まで全力で、諦めることなく戦い続けました。ファイナルラップでは、感情を抑えきれず、ドライビングに集中するのが大変でした。本当にみんなの反応が嬉しく、感動しています」とコメントしている。

これで今シーズンのWECレーススケジュールは終了したが、7日日曜日にはバーレーン・インターナショナル・サーキットではWECのルーキーテストが行われ、WRC世界ラリー選手権で7度のチャンピオンを獲得しているセバスチャン・オジェ、今季LMP2クラスのチャンピオンに輝いたシャルル・ミレッシがトヨタGR010 ハイブリッドをドライブする予定となっている。

2021年WEC第6戦バーレーン8時間 決勝結果

優勝 8 TOYOTA GAZOO Racing/トヨタ GR010 ハイブリッド 247周
2位 7 TOYOTA GAZOO Racing/トヨタ GR010 ハイブリッド +7.351s
3位 36 アルピーヌ・エルフ/アルピーヌ A480-ギブソン 184周
4位 31 チームWRT/オレカ 07-ギブソン(LPM2) 240周
5位 38 イオタ/オレカ 07-ギブソン(LPM2) 240周

2021年WECハイパーカー チームランキング(第6戦終了最終結果)

1位 トヨタ 206
2位 アルピーヌ 128
3位 グリュッケンハウス37

2021年WECハイパーカードライバーズランキング(第6戦終了最終結果)

1位 M.コンウェイ/小林可夢偉/J.M.ロペス(7 トヨタGR010 ハイブリッド)173
2位 S.ブエミ/中嶋一貴/B.ハートレー(8 トヨタGR010 ハイブリッド)168
3位 A.ネグラオ/N.ラピエール/M.バキシビエール(36 アルピーヌ A480-ギブソン)128

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