生産はハンガリー子会社のマジャールスズキ社
スズキの小型クロスオーバーSUV、「SX4」は初代が2006年にフィアットとの共同開発車としてデビュー。2013年に発表された2代目は「SX4 Sクロス」の車名となり、ハンガリー子会社のマジャールスズキ社で生産されたモデルが日本でも販売されている。日本では2020年末に販売が終了されていたが、今回、車名も「Sクロス」とした新型がオンラインで世界初公開された。
そのスタイリングは「Bold(堂々とした)」をコンセプトに、フロントは大型グリルや特徴的な3灯式LEDポジションランプを採用。ボンネットとともに高く配置して、SUVらしいたくましい印象とした。タイヤハウスにはスクエア形状のモールディングを施して屈強さを、ボディサイドは流れるようなショルダーラインを引いて強くかつ滑らかに走る力を表現している。リアもフロントと同様にランプとバンパー位置を高く配置し躍動感を表現するなど、どの角度から見ても堂々としたSUV の風貌を感じさせるエクステリアに仕上げられている。
インテリアは、力強いSUVに合う立体的な造形とし、中央に多機能な9インチの大型HDディスプレイオーディオを採用。スマートフォンとの連携はもちろん、車両情報やカメラ映像表示といった運転支援機能も備え、内外装ともにドライバーに自信と安心感を持たせるようなスタイリングを実現している。
「Sophisticated(洗練された)」をコンセプトとした技術面では、燃費優先や雪道走行など運転環境に合わせて走行モードをダイヤルで簡単に選択できるスズキ独自の4輪制御システム「オールグリップ」を採用。また、欧州仕様車には、全車48ボルトのSHVSマイルドハイブリッドを採用し、燃費抑制はもちろん、アクセル操作に応じてエンジントルクにモータートルクを上乗せするという加速補助も可能にしている。さらに、衝突被害軽減ブレーキ、標識認識機能、車線逸脱抑制機能、全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロール(ACC)などの運転支援機能に加え、全方位モニターや後退時車両検知警報などの駐車支援機能も充実させている。
「Versatile(万能)」をコンセプトにした使い勝手は、コンパクトな車体の中に最大限の空間をつくるスズキのノウハウを駆使し、大人5人がゆったり座れる快適性と、多用途に使える荷室容量430Lを実現している。開放感のある大開口サンルーフを採用するなど、移動を楽しめるよう工夫をこらし、アウトドアから長距離移動まで、多彩な場面で活躍する扱いやすさもセールスポイントだ。
■スズキ Sクロス(欧州仕様車) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4300×1785×1585mm
●ホイールベース:2600mm
●エンジン:1.4L 直噴ターボエンジン(マイルドハイブリッド)
●エンジン最高出力:95kW(129ps)/5500rpm
●エンジン最大トルク:235Nm(24.0kgm)/2000-3000rpm
●モーター最高出力:10.0kW
●モーター最大トルク:50Nm
新型「Sクロス」は、前述のようにハンガリー子会社のマジャールスズキ社で生産され、2021年末より欧州での販売を皮切りに中南米、大洋州、アジアへも輸出される。2022年初めには、駆動用モーターとオートギアシフト(AGS)を組み合わせたスズキ独自のハイブリッドシステムを採用したモデルを欧州向け「ビターラ(日本名エスクード、日本では販売終了)」に搭載し、同年後半からSクロスにも搭載する計画だ。
なお、この新型Sクロスが日本に導入されるかは現段階では未定だ。だが、世界的にまだまだ続くSUVブームの中で、日本の街中でも扱いやすいコンパクトなサイズとスタイリッシュなデザイン、充実した装備にハイブリッドも採用したパワートレーンという組み合わせを考えると、日本でも十分に人気を呼びそうだ。スズキの決断に期待しよう。