これでドラマは終わらなかった
しかし、ドラマはまだ終わらず、順位を譲ろうとしたフェルスタッペンとハミルトンが接触。ハミルトンはフロントウイングにダメージを負ってしまい、一時は騒然となった。ただ大事にはいたらず、さらにフェルスタッペンがショートカットしたとして5秒のタイムペナルティを課されたことで、完全に決着がついた。
フェルスタッペンのレース終盤はミディアムタイヤを最後まで保たせることで精一杯、ハミルトンから7秒差の2位でフィニッシュ。ハミルトンとは異なる戦略で、可能な限りの抵抗を見せた2位だった。
これで2021年シーズンチャンピオン争いで、フェルスタッペンはハミルトンに並ばれたものの、同一ポイントながら優勝回数でわずかに優位に立つ状況で運命の最終戦(第22戦)アブダビGPを迎えることになった。
なお、コンストラクターズ選手権でメルセデスとレッドブル・ホンダの差は28ポイントに広がったが、こちらの決着も最終戦まで持ち越しとなった。
ルイス・ハミルトン(メルセデス)
「私は長い間レースをしてきましたが、今日のレースは信じられないほどタフできついものでした。長年のレース経験を活かして、できる限り冷静になるように努めました。シーズン後半、いろいろなこがとがありましたが、チームとして頑張りました。今週末の観客には本当に感謝しています」
マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
「今日は多くのアクションがあり、さまざまなことが起こりました。僕はポジションを戻すように言われたのでレーシングラインを外れてスローダウンしたところ、ルイスが真後ろにいました。彼がなぜ抜いていかなかったのか理解できません。5秒ペナルティにも納得はできませんが、仕方ないことなので、前へと進んでいきます。今日のレースでは完璧と言えるペースはなかったので、そこがアブダビに向けての課題です。同点で最終戦に臨むわけですが、エキサイティングなシーズンの締めくくりになるはずです 」
なお、ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは「フェルスタッペン選手はピット戦略も功を奏して一時はトップを走行しましたが最終的に2位に終わりました。ドライバーズチャンピオンシップについてはフェルスタッペン選手がハミルトン選手と同一ポイント、コンストラクターズチャンピオンシップは今日の結果からメルセデスに差を広げられてしまいました。そしていよいよ、来週の最終戦で両チャンピオンシップが決まります。ホンダF1の最後の挑戦となる今シーズンの最終戦、第22戦アブダビGPに向けてチーム一丸となり全力を注いてのぞみます 」とコメント。
タイヤを供給するピレリは「2回の赤旗、セーフティーカー、バーチャルセーフティーカーの導入がレースをたびたび中断させ、戦略を混乱させましたが、ミディアムタイヤでスタートしたハミルトンが、1回目の赤旗中断前の10周目にハードタイヤへ交換して、そのまま優勝しました。フェルスタッペンは、1回目の赤旗中断中にハードタイヤへ、2回目の赤旗中断中にミディアムタイヤへ交換し、ハミルトンより1回多いタイヤ交換を行い2位に入りました。最終的には、タイトル争いを演じる2人のドライバーによる、異なるタイヤでの見応えある全力での闘いが展開されましたが、ハードタイヤがレースの鍵となりました」と分析している。ハミルトンは最終ラップ直前にハードタイヤでファステストラップを記録している。
次戦第22戦最終戦アブダビGPは休む間もなく、12月10日に開幕、12日に決勝レースが開催される。
2021年F1第21戦サウジアラビアGP決勝 結果
1位 44 L.ハミルトン(メルセデス)50周
2位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)+11.825s
3位 77 V.ボッタス(メルセデス)+27.531s
4位 31 E.オコン(アルピーヌ・ルノー)+27.633s
5位 3 D.リカルド(マクラーレン・メルセデス)+40.121s
6位 10 P.ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)+41.613s
7位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+44.475s
8位 55 C.サインツ(フェラーリ)+46.606s
9位 99 A.ジョビナッティ(アルファロメオ・フェラーリ)+58.505s
10位 4 L.ノリス(マクラーレン・メル セデス)+61.358s
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14位 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)+1周
リタイア 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)
2021年F1ドライバーズランキング(第21戦終了時)
1位 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)369.5 ※
2位 L.ハミルトン(メルセデス)369.5 ※
3位 V.ボッタス(メルセデス)218
4位 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)190
5位 C.ルクレール(フェラーリ)158
6位 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)154
7位 C.サインツ(フェラーリ)149.5
8位 D.リカルド(マクラーレン・メルセデス)115
9位 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)100
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14位 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)20
※:両者同点だが、優勝回数の差により順位を決定
2021年コンストラクターズランキング(第21戦終了時)
1位 メルセデス 587.5
2位 レッドブル・ホンダ 559.5
3位 フェラーリ 307.5
4位 マクラーレン・メルセデス 269
5位 アルピーヌ・ルノー 149
6位 アルファタウリ・ホンダ 120