5つのドライブモードで各制御が明確に変化する
一方、上級グレードの「STIスポーツR」はパワートレーンこそ共通だが、電子制御ダンパーが装備される。そして、「コンフォート」「ノーマル」「スポーツ」「スポーツ＋」「インディビデュアル」の5つのドライブモードが選べ、パワーユニットに加えてダンパー減衰力、パワーステアリング、AWDなども含めた各制御が「キャラ変」する。
基本は、気持ち良く曲がれ、さらに弱アンダーステアで安心して走れるハンドリング特性を持っている。でも、限界域で頑張って走るとオーバーステアも見られる。とはいえ、あくまでドライバーの操作に対して一体感のある挙動で、突然勝手にキャラクターが変化するような不安感はないのでご安心を。
「GT‐H」も、優しい乗り心地で十分な性能を備えるが、サーキットで常用域から限界域まで試してしまうと、やはり「STIスポーツR」の方がいろんなキャラが登場して楽しいと感じられた。中でも、ヘアピンのようなタイトコーナーから中速コーナー、ちょっと荒れた路面からフラットな路面まで、常に減衰力調整しながら追従するフットワークの良さが気持ち良い。何よりも、あらゆる「制御」が、ドライバーの操作に違和感なくなされるのが安心して走りを楽しめる要因だろう。
セダンは乗っている時は自己主張が強過ぎず、後味スッキリが良いと思っている。一方、スポーツカーは、強烈なキャラやパフォーマンスを発揮してナンボ、というところがある。
WRX S4 STIスポーツR EX。ZF製の電子制御ダンパーは、減衰力を走行状態に応じてコントロールする。
新型WRX S4は、ハイパワーをスバル自慢のAWDでコントロールし、サーキットを走っても速く走れるパフォーマンスを発揮、スポーティに「操る楽しさ」を提供しながら、決して尖った性格ではなく、降りた後は高級サルーンのように、良い意味で強い後味を残さない、ちょっと「不思議ちゃんキャラ」のクルマだ。
「ホット」なんだけれどもバランス感覚に優れ、完成度が高いためにセダンらしく「フツー」に乗れてしまうのだ。日常は穏やかに上質な走りを、そしてドライブやワインディングではスポーツドライビングを堪能したい、そんな方にオススメする。（文：佐藤久実／写真：井上雅行、スバル）
スバル WRX S4 STIスポーツR EX（プロトタイプ） 主要諸元
●全長×全幅×全高：4670×1825×1465mm
●ホイールベース：2675mm
●車両重量：1600kg
●エンジン：対4 DOHCターボ
●総排気量：2387cc
●最高出力：202kW（275ps）／5600rpm
●最大トルク：375Nm／2000－4800rpm
●トランスミッション：CVT（スバルパフォーマンストランスミッション）
●駆動方式：4WD
●燃料・タンク容量：プレミアム・63L
●WLTCモード燃費：10.8km／L
●タイヤサイズ：245／40R18
●車両価格（税込）：477万4000円
レヴォーグSTIスポーツにも2.4Lターボ搭載
レヴォーグに新たにSTIスポーツRとSTIスポーツR EXグレードが追加された。
新型WRX S4の発表と同時にレヴォーグも年次改良を行い、2.4Lターボを搭載するSTIスポーツR／STIスポーツR EXを追加する。このモデルはVTD-AWD（不等＆可変トルク配分電子制御AWD）を採用し、ドライブモードセレクトと連携して旋回性を高める新制御AWDスポーツモードも搭載。車両価格は438万9000円から。
