2022年に日本市場での発売を予定しているルノーのクーペフォルムSUV、「アルカナ(RENAULT ARKANA)」にクローズドコースで試乗。

エンジンに4速、モーターに2速の変速機を採用するハイブリッドSUV

B/CセグメントのSUVで、おまけにスタイリッシュとなれば即座にヒットしてもおかしくないが、アルカナには好評を博しそうなポイントがもうひとつある。それは、ルノーが生み出したまったく新しいハイブリッドシステム「E-TECH」を採用した点にある。

ルノーが主にコンパクトモデル用に開発したE-TECHには、いわゆるストロングハイブリッドとPHEVの2種類があるが、アルカナに搭載されたのはストロングハイブリッドのほう。その特色を端的に説明すれば、エンジンに4速、モーターに2速の変速機を組み合わせるとともに、状況に応じてシリーズハイブリッドにもパラレルハイブリッドにも変化するメカニズムを採用したことにある。

さらに、動力の断続には摩擦を利用したクラッチではなく金属同士が噛み合って動力を伝えるドグクラッチ式を採用。俗にいうラバーバンドフィールのない、かっちりとしたドライブフィールを味わえるという。

画像: 1.6Lエンジン(69kW/94ps)とモーター(36kW/約49ps)、高電圧スタータージェネレーター(15kW/約20ps)の3つユニットで駆動する。

1.6Lエンジン(69kW/94ps)とモーター(36kW/約49ps)、高電圧スタータージェネレーター(15kW/約20ps)の3つユニットで駆動する。

実際に試乗してみると、0〜約50km/hの領域でほとんどエンジンがかかることなく、まるでEVのように静かで滑らかな走りを楽しめたほか、高速域で最高出力94psのエンジンが伸びやかで爽快なクルージングをもたらしてくれる。また、静粛性が優れているのでエンジン音、ロードノイズともに低いこともアルカナの長所として挙げておきたい。

乗り心地は、往年のルノーファンであればよくご存じの「どっしりとしてソフト」な感触。最近のルノー車で失われがちだったこのテイストが、新型メガーヌとともに復活していることは喜ばしい限り。もちろんハンドリングもルノーらしく落ち着いていて安心感が強いタイプだ。

小排気量のディーゼルエンジンが実質的に締め出されてしまったいま、高速域でも省燃費が期待できる小型車向けのE-TECHは実に貴重な存在。その商品化に踏み切ったルノーの英断には心から拍手を贈りたいと思う。(文:大谷達也/写真:ルノー・ジャポン)

ルノー アルカナ 主要諸元(欧州仕様)

●全長×全幅×全高:4568×1820×1576mm
●ホイールベース:2720mm
●車両重量:1435kg
●エンジン:直4 DOHC+モーター+HSG※
●総排気量:1598cc
●最高出力:69kW(94ps)
●最大トルク:148Nm
●モーター最高出力:36kW/15kW
●モーター最大トルク:205Nm/50Nm
●トランスミッション:エンジン4速AT/モーター2速AT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・50L
●WLTPモード燃費:約20.8km/L
●タイヤサイズ:215/55R18
※HSG:高電圧スタータージェネレーター

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