2007年に復活したアバルトの第2弾「アバルト500」が、2009年、日本にやってきた。ここではいよいよ日本の公道で試乗できたアバルト500のインプレッションを、振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年8月号より)

小さいながら頼もしく、たまらなく楽しい走り

一般道では、低速でもギアのつながりがスムーズなため、ストップ&ゴーの多い中でも楽に走ることができた。ノーマルより引き締められた足まわりも、不快と感じるほどには硬くない。

そんな中、気になったのは、ダッシュボード上のGSI(ギア・シフト・インジケーター)。ターボブースト計も兼ねるこれは、最適なシフトアップタイミングを告げる優れもの。なのだが、通常モード時にはエコ運転を促すため、早めのシフトアップを指示する。そのせいで、操作を急かされているようで、少し煩わしく感じてしまった。

画像: IHI製ターボが組み合わされる1.4L直4DOHCエンジン。最高速度205km/h、0→100km/h加速7.9秒を可能とする。

IHI製ターボが組み合わされる1.4L直4DOHCエンジン。最高速度205km/h、0→100km/h加速7.9秒を可能とする。

高速へ入ると、小さいボディからは想像できないような、直進安定性を見せる。通常モードでもまったく問題なく巡航できたが、試しにスポーツモードを選択してみた。すると、5速のまま80km/hからアクセルを踏み込んでも、力強ささえ感じさせるほどに加速してくれた。

また、スポーツモード選択時は、最大トルクがアップするだけではなく、パワステのアシスト量が抑えられる。さらにGSIのプログラムもスポーツ走行用に変更されるので、アバルト500のよりダイナミックな走りを楽しむことができる。

高速を降りてワインディングに向かった。ここでは、TTC(トルク・トランスファー・コントロール)をONにしてみた。これはコーナーで内輪が空転した際に、それにブレーキをかけ、さらに接地荷重の高い外輪に駆動力を伝達するもの。このシステムのおかげで、タイトコーナーを苦もなく抜けることができた。

アバルト500にはこのワインディングのステージがもっとも合っていると感じられ、ホットハッチという懐かしい言葉を思い出してしまうような走りを楽しんでしまった。

試乗を通して感じたのは、アバルト500は過激なスポーツカーではないということ。公道でも、スマートな乗り味を楽しむことができた。これは、アバルト500 エッセエッセが、よりハイパフォーマンスな仕様として控えていることも関係しているのだろう。

勢いのあるフィアットグループ。アバルト グランデプント エッセエッセも発売が開始されるなど、その勢いはまだまだ続いていきそうだ。(文:Motor Magazine編集部/写真:永元秀和)

アバルト 500 主要諸元

●全長×全幅×全高:3655×1625×1515mm
●ホイールベース:2300mm
●車両重量:1110kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:1368cc
●最高出力:99kW(135ps)/5500rpm
●最大トルク:180Nm/4500rpm(SPORT BOOST機能使用時:206Nm/3000rpm)
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:FF
●10・15モード燃費:13.4km/L
●タイヤサイズ:195/45R16
●車両価格:295万円(2009年当時)

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