インタビューは2021年6月17日、日産グローバル本社役員室にて行われた。新型Zの1/4スケールモデルを背景に、厚くZと日産への思いを語る。
「A to Z」、そしてZプロト披露の反響は?
──ちょっと経営者的な話を伺います。2020年5月末に発表された日産の中期計画「NISSAN NEXT」の中で、「A to Z」という公約がありましたが、アリアから始まるA、最後にZを持って来ました。そして2020年9月中旬にはZプロトの発表。その反響はいかがでしたか? スピーチの冒頭から、内田社長が自らの言葉で語ったというのは、ファンの間では評判になっていて・・・。
内田氏:ありがとうございます。社内でもみんな元気になりましたね。やっぱりみんな、クルマ好きなんですよ。本当にクルマが好きで、それをお客様にご理解いただき、良い物を提供したいという気持ちは非常に強いのです。私もそれを自ら発信したかったという気持ちもあります。そういう面では、社内の一体感がより高まってきたというのは、Zプロトの発表を起点に変わってきたかな・・・と感じています。手応えとしてはあるかな、と。
──約20年前、V字回復を遂げたNRP(日産リバイバルプラン)のときのひとつの象徴に、Z33によるZの復活があったと思いますが、例えば新型Zは、ここ数年の日産の流れを上げるためのひとつの切り札に・・・ということは念頭にあったのでしょうか?
内田氏:ありますね。やっぱり日産らしさを表現したいということです。それが電気自動車のアリアであったり、スポーツカーのZであったり。我々は、GT-Rに対しても思いを持ってやっています。確かに厳しい時期がありました。でもこの会社、すごいんですよ! 個人それぞれの能力が。もういつでもどこでも、しつこいぐらい言っているのですが。
──そうですね。
内田氏:その個人の能力をきちんと導いて、本来のポテンシャルの力を引き出していくのが我々経営者の責任だと思っています。「じゃあ、それをするにはどうするんだ? それを商品で見せるにはどうするんだ」というのが、今まで一生懸命やってきたことなのです。再び日産を輝かせたいのです。過去に日産は輝いていました。残念ながらいろんなことがありましたが、これから日産を再び輝かせる。そのためにアリアもZも世に出していく。これが僕の強い気持ちなのです。これが日産らしさです。日産のDNAです。
──前も何かの談話を読んだのですが、日産らしさとは「他にないものをやる」、「他にないものを提供する」っていうことですか?
内田氏:はい。我々は「やっぱり日産で良かったよね」ってお客様に言っていただきたいのです。「やっぱり」って。2020年の株主総会でそれを言いました。当然、従業員にも日産で働くことを誇りに思って欲しいのです。これが実現できれば、本当に社長をやっていて良かったな、と思えるし。それが今のモチベーションです。本当にそういった声が聞こえてくると、嬉しくてしょうがないです。なぜならば、本当にこの会社は素晴らしいから。