日本独自のボディサイズ規格にこだわらないグローバルカー
長年の間、日本のなかで築き上げられてきたクルマづくりは、独自の交事事情や道路環境などに即したものである。5ナンバーサイズが受け入れられてきたのもそうした経緯があるからに他ならない。レガシィが多くのファンに愛されてきたこともそうした要因があったからこそなのだ。
しかし、それはあくまで日本国内の事情を主に考えたという前提があり、グローバルなマーケットへ目を向けた時、それが通用するかというとメーカーには疑問符が残っていたことも事実。新しいレガシィは、今までのそうしたノウハウや伝統を捨ててまでも、新たな一歩を踏み出す必要があったのだろう。
「ずいぶんと大きくなったものだ」。これが新しいレガシィと対面したときの第一印象。レガシィツーリングワゴンで見るとデメンジョンは、全長4775mm、全幅1780mm、全高1535mm。先代モデル比で全長がプラス95mm、全幅がプラス50mm、全高がプラス65mmとスリーサイズとも拡大された。これはB4もアウトバックも同じ、すべてが大きくなった。
さらにエンジンラインナップでも、初代BC/BF型から続いていた2LとBE/BH型、BL/BP型と2世代続いた3Lエンジンがなくなり、2.5LのNAとターボ、そしてアウトバックに搭載される3.6L NAの3種類になったことで、伝統的にレガシィから連想されるものが希薄になった。今までのオーナーはさぞかし新しいレガシィのサイズアップと排気量には、戸惑っていることだろう。
しかし、日本独自のボディサイズ規格にこだわらないグローバルカーとなったレガシィにとって、それらは多くの恩恵をもたらしたことも事実だ。それが一番顕著に表れているのが室内の広さだろう。運転席に座った瞬間からカップルディスタンスの違いに気がつく。
それを視覚的にも強調しているのがセレクトレバーまわりのデザインである。すっきりとシンプルにまとめられて余分なスイッチ類はなく、SI-DRIVEのセレクターと縦列から横並びに変更されたカップホルダーが用意されるのみとなっている。
室内空間の活用という点では、フロントシートバックの「えぐれたデザイン」はグッドアイデアと言っていいだろう。これによりリアシートの居住性は確実に向上している。だからといってフロントシートが薄っぺらになったというわけでもない。シートは大きくゆったりとしていて快適だ。