一新されたエンジンマウントがNVHを大きく改善した
エンジンは3機種をラインナップする。なかでも好印象だったのは2.5LのNA。低中速域がとても扱いやすい。さらに、レスポンスもよく、アクセルペダルの踏み込み量に対して忠実に加速していくので高速域でもストレスを感じることはなかった。
2.5Lターボは鋭い加速力と絶対的なパワーを備え、3.6Lも太いトルクを使った低速域から余裕ある走りをみせるが、やはり新しいレガシィを実感できるのは2.5L NAだろう。
なぜならこのエンジンにはトランスミッションに新開発のリニアトロニックとスバルが呼ぶチェーン駆動のCVTが組み合わされるから。これは燃費の向上にも貢献していて、10・15モード燃費では先代の2.5L NA比で1km/h向上を実現した。ちなみに2.5L NAと3.6Lはともにレギュラーガソリン仕様というのもうれしい。先代の3Lはプレミアムガソリン仕様だったので、排気量アップしてレギュラー仕様に変更された部分だけをみても積極的に選択する理由になる。
ロールは全体的に大きめだが、だからといって乗り心地がスポイルされているわけではない。低速から快適さを維持しながら、踏み込めばスバルらしいスポーティな走りも健在だ。さらに、振動も低減された。これはエンジンマウントの構造を一新して、マウント支持部の間隔を広げることで路面からの入力を直接ボディに伝わり難くくしたクレドール(ゆりかご)状のものにしたことが大きく影響しているようだ。
新しいレガシィに不満がないわけではない。まず違和感を感じたのは大きくなったボディだ。最小回転半径も5.5mに拡大している。しかし、それ以上にハンドルのスポークに採用された素材に不満が残った。チープな印象を受けたからだ。ドライバーがよく触れる部分なのだが、高級感が感じられない。せめてグレードによって素材を分けるか選べるようにして欲しい。また、省燃費走行をサポートするECOゲージは、もう少し目立つ場所に配置してもよかったのではないかと思う。
日本のマーケットにこだわらずグローバルカーとして生まれ変わったレガシィ。日本のユーザーに受け入れられるのかどうかはもう少し時を経ないと結果は出ないが、この試乗で基本性能の向上は確認できた。日本の枠から飛び出し、メインマーケットとなる海外へ目を向けた新しいレガシィが世界で活躍する日は近いのかもしれない。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充/写真:原田 淳)
スバル レガシィツーリングワゴン2.5GT Sパッケージ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4775×1780×1535mm
●ホイールベース:2750mm
●車両重量:1550kg
●エンジン:対4DOHCターボ
●排気量:2457cc
●最高出力:210kW(285ps)/6000rpm
●最大トルク:350Nm/2000-5600rpm
●トランスミッション:5速AT
●駆動方式:4WD
●10・15モード燃費:11.2km/L
●タイヤサイズ:225/45R18
●車両価格:336万円(2009年当時)
スバル レガシィB4 2.5i L パッケージ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4730×1780×1505mm
●ホイールベース:2750mm
●車両重量:1460kg
●エンジン:対4SOHC
●排気量:2457cc
●最高出力:125kW(170ps)/5600rpm
●最大トルク:229Nm/4000rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:4WD
●10・15モード燃費:14.0km/L
●タイヤサイズ:205/60R16
●車両価格:252万円(2009年当時)
スバル レガシィアウトバック3.6 主要諸元
●全長×全幅×全高:4775×1820×1605mm
●ホイールベース:2745mm
●車両重量:1580kg
●エンジン:対6DOHC
●排気量:3629cc
●最高出力:191kW(260ps)/6000rpm
●最大トルク:335Nm/4400rpm
●トランスミッション:5速AT
●駆動方式:4WD
●10・15モード燃費:10.0km/L
●タイヤサイズ:225/60R17
●車両価格:346万5000円(2009年当時)