外部給電機能も装備。すべてが規格外、だけど一度は乗ってみたい
シルバラードEVのパワートレーンは、前後に電気モーターを配する電気式4WDシステムを採用。巨大な24インチタイヤと相まって、圧倒的な駆動力を効率的に「速さ」「力強さ」へと結びつけている。
同時に、さまざまな先進制御を採り入れて、扱いやすさや乗りやすさにもこだわっているところが興味深い。
アクティブに減衰力を最適化するエアサスペンションは、車高を最大50mmまで上下させることが可能だ。四輪操舵機能を備え、低速での回転半径が比較的小さいことも、取り回しの良さにつながっている。高速走行時はハンドリングの安定性も向上する、優れものだ。さらに悪路などでは、シボレー自慢のAdvanced Trailering Systemが絶妙にサポートしてくれる。
ちなみにフル充電での走行距離は、約400マイル=およそ650km(GM推定)。最高出力は664ps、最大トルクは1058Nmに達する。0→60mph加速は、わずか4.5秒。0→100km/h加速も5秒を切ることは確実だろう。この巨体が猛烈な勢いで加速する様は、さぞかしド迫力だろう。
日本に住む身としてはちょっと羨ましい話だが、米国ではすでに、最大350kWという超々急速充電設備の展開が始まっている。シルバラードEVのような桁外れのパフォーマンスを持つEVでも、10分ほどの充電で100マイル=約160km分のマイレージが確保できるという。だからこそ、電池切れに臆することなく乗りこなすことができるのだろう。
オプションのデバイスを介することで、最大10個のコンセントから給電できるゆとりまで備える。合計10.2kWの電力供給ポテンシャルは、家庭や仕事、あるいはレクリエーションシーンでも重宝するハズだ。
シルバラードEVは、シボレートラックとしての機能性と汎用性、そしてパフォーマンスに至るまで、電気自動車であることのメリットを最大限に生かして磨かれているような気がする。2020年9月に発表されたGMCブランドの「ハマーEV SUV」とともに、明らかに規格外だけれど日本でもぜひ走らせてみたい・・・と素直に思わせてくれる「気は優しくて力持ち」な1台だ。(文:Webモーターマガジン編集部 神原 久/写真:ゼネラルモーターズ)