本田技研工業(ホンダ)はホンダ車による交通事故死者数を2030年までに半減、2050年にゼロにするとことを発表し、さらにその目標に向けた研究内容を公開。今回、その研究の数々を取材した。(Motor Magazine 2022年2月号より)

まずは「ホンダ センシング360」の普及拡大、そして・・・

ホンダ車による交通事故死者数を半減、またゼロとする目標、これは今後登場する新型車だけではなく、市中を走るすべての現存車を対象としている。そんなことが可能なのか。この疑問に応えるように、現在進めている交通事故を減らす取り組みや研究内容が公開された。

ゴールへのアプローチは多岐にわたるが、「2030年までに半減」の目標クリアにもっとも大きな要素となるのがADASの進化と普及だという。中でも2022年に中国市場へ導入、その後、搭載車種のラインナップ拡大を予定する「ホンダセンシング360」に大きな期待がかかる。

このシステムの核となるのが、試験車両であるアコードの前後4つのコーナーに5cmほど張り出した黒いボックスの中身、中距離ミリ波レーダーだ。四方の約100m先までを監視して車両や人の接近を検知するもの。また、フロント中央部には約200m先までを検知できる長距離ミリ波レーダーも備える。広範囲を対象とすることで、重大な事故になり得る高速走行車両との衝突を「より早い段階」で検知できるシステムなのだ。

ちなみにこのホンダセンシング360には、レーザー光で広範囲の空間を正確に把握するLiDAR(ライダー)は採用されていない。価格を抑えることで2030年までに先進国で販売するすべてのモデルに搭載、より多くの人がその恩恵を受け、より多くの事故をなくすためだという。

画像: ホンダセンシング360の試験車両には、合計5基の中距離・長距離ミリ波レーダーを装着されている。

ホンダセンシング360の試験車両には、合計5基の中距離・長距離ミリ波レーダーを装着されている。

ホンダセンシング360登場のあとも、さらなる進化が待ち受けている。走行中の歩行者見落としや操作ミス、居眠りなどヒューマンエラーをクルマが検知すると、リスクを音や視覚、シートベルト巻き上げなどで通知、さらに振動による刺激で眠気を軽減するなどドライバーの状態と交通シーンに合わせた運転支援を提供するというもの。

また、5G通信によりクルマと歩行者のスマホ、そして通信基地局を接続することでドライバーと歩行者の双方へ危険性を喚起する、いわゆるセルラーV2Xもそのひとつ。もちろんこれだけではなく、AIや歩行者エアバッグなど研究項目の数は数えきれないほどある。

こうした現在進行中の取り組みと研究を知らなければ、一見無茶に見えてしまう「2050年に交通事故死者数をゼロにする」という目標設定。しかし、取材を終えてみれば「これは努力目標ではなく、達成目標である」という公式見解に納得させられた。(文:Motor Magazine編集部 蔭山洋平/写真:蔭山洋平、本田技研工業)

画像: 車載カメラの映像からひとの体を認識し、歩行者の動きを予測するシステム。地面の赤い部分が未来の移動先を示す。また、走っているひとやサイクリスト、スマホを見ながら歩行するひとなど、個別に認識されて予測する。また、ひとは年齢によって動きも異なり、将来的にはそうした様々な要素も取り込んでいくという。

車載カメラの映像からひとの体を認識し、歩行者の動きを予測するシステム。地面の赤い部分が未来の移動先を示す。また、走っているひとやサイクリスト、スマホを見ながら歩行するひとなど、個別に認識されて予測する。また、ひとは年齢によって動きも異なり、将来的にはそうした様々な要素も取り込んでいくという。

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