人に寄り添う次世代運転支援システム
運転の楽しさを探求しているマツダ。それを実現するための概念のひとつが「人中心の安全技術」だが、これがこのたびMAZDA CO-PILOT Concept(マツダ コ パイロット コンセプト)として具現化され、新たな一歩を踏み出した。
マツダ コ パイロット コンセプトは、運転の主体はあくまでも人だが常にシステムが運転を見守り、非常時には人に代わり運転を行ってクルマを安全に停車させ異常発生を外部に知らせる、または安全な場所にクルマを退避させるという、まさにコ パイロット(=副操縦士)と言えるシステムだ。
その第1弾は「マツダ コ パイロット1.0」として2022年に発売されるラージ商品群から市販車への採用が始まるが、今回は2025年の発売に向けて開発が進む「マツダ コ パイロット2.0」の技術試作車の能力を公道で体感した。
試作車はマツダ3ファストバックをベースに、コ パイロット2.0に必要なカメラ12個、高精度地図、ロケーター ECUを搭載していた。ちなみにコ パイロット1.0では専用ソフトとすでに搭載済みのカメラやセンサー類で成立するという。
運転は心身を活性化して人の健康を保つ
本来、マツダ コ パイロットはドライバーの運転姿勢の崩れや視線移動の異常などを検知して作動するが、今回は公道でのテストということでスイッチ操作によりシステムを起動し、同時にドライバーは運転操作を放棄。するとセンターディスプレイに異常を検知したこととクルマの運転がシステムに切り替わったことを示すアニメーションが表示される。加えてハザードが点灯とクラクションを鳴らすことで周囲に異常を伝える。
クルマは徐々に減速していくが、前方に交差点があり、さらにその先の路肩に大型トラックが停車している。果たしてきちんと退避できるのか、少し不安になったがシステムは信号が青であることを検知して交差点を通過、トラックの存在も検知したため、無理に路肩にクルマを寄せようとはせず、車線内で静かに停止した。さらに2回デモを行ったが、システムは安全にクルマを停車させた。
運転は心身を活性化して人の健康を保つ一助になるとマツダは考えており、運転が高齢者の認知機能の低下抑制などに効果的だという研究結果もある。マツダ コ パイロット コンセプトは単なる安全装備の枠を超えた、まさにドライバーに寄り添う新世代のシステムだと感じた。(文:Motor Magazine編集部 小泉優太/写真:伊藤嘉啓)