DSオートモビルズが2016年に発表したミッドシップEVスポーツ「E-テンス(E-Tense)」が、新たな装いとさらに進化した技術をまとって現代に復活した。かつての「コンセプト」は「プロトタイプ」へと進化し、圧倒的なパフォーマンスアップを果たしている。果たして、リアルな市販化はありうるのだろか。

リアルなパフォーマンスデータもやがて明らかに

バーチャルだけなくリアルでも、随所に今後のDSブランドモデルに投入される可能性の高い装備や技術が盛り込まれていることも確かだ。

画像: 複雑な輝きを放つボディカラーのエフェクト、フロントグリルまわりのアピアランスアレンジなど、未来感が溢れるたたずまい。

複雑な輝きを放つボディカラーのエフェクト、フロントグリルまわりのアピアランスアレンジなど、未来感が溢れるたたずまい。

トタル・エナジーズとその子会社との共同開発によるバッテリーは冷却性能に優れ、出力や再生効率の向上を実現している。走行性能だけでなく、たとえばオーディオにFOCALのユートピアサウンドシステムを搭載するなど、実用車としてのクオリティアップにも着目しているところが興味深い。

DSパフォーマンスの開発チームはこのE-テンス パフォーマンスを、「走る実験室」と位置付けている。だが実車によるテストは、クローズドのトラックコースだけでなく、公道でも予定されているという。

テストを担当するのは、フォーミュラEチャンピオンであり、E-テンスアンバサダーを務めるジャン=エリック・ヴェルニュとアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ。その過程で、リアルなモデルのパフォーマンスデータも明らかにされるようだ。

E-TENSEの新たなフラッグシップカーへの期待値、高まる

かつてコンセプトカー「DS エアロ スポーツラウンジ」で提案されたフロントマスクの新たな表現や、800個のLEDで構成されたデイタイムライト、見る角度によって輝きや色味が変化するカラーエフェクトなど、E-テンス パフォーマンスには注目すべき個性が多々ある。

画像: 「私たちの目的は、フォーミュラEで得た経験と、国際的なタイトルから得た専門知識を、将来の高性能BEVを目指したプロジェクトに応用することです。次の世代のE-TENSEたちは、このクルマによって進められた開発の恩恵を受けるでしょう」──DSパフォーマンスディレクター トーマス・ チェヴォーチャー 氏

「私たちの目的は、フォーミュラEで得た経験と、国際的なタイトルから得た専門知識を、将来の高性能BEVを目指したプロジェクトに応用することです。次の世代のE-TENSEたちは、このクルマによって進められた開発の恩恵を受けるでしょう」──DSパフォーマンスディレクター トーマス・ チェヴォーチャー 氏

とはいえこのモデルはあくまで、極めて高度な「ソリューション開発」を担うことになる実験車であって、市販可能性はおそらく低い。それでもここまで魅力的なたたずまいを目の当たりにしてしまうと、「E-TENSE」というブランドのこれからを先導する新たなフラッグシップモデルとして、リアルデビューにもついつい期待してしまいたくなるのだった。(文:Webモーターマガジン編集部 神原 久)

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