日本のモータリゼーションとともに月刊モーターマガジンは発行を重ね、今号で800号を迎えた。その間、約67年。自動車業界は今、100年に1度という大変革期を迎えている。そこで、この特集では日本を代表するメーカーやインポーターのキーマンにインタビューし、近未来の展望やカーボンニュートラルへの取り組みなどを訊くことにした。訊き手:Motor Magazine編集長 千葉知充(Motor Magazine2022年3月号より)

確実な手応えを感じるBEV国内市場にも続々投入を予定

MM ところで今後の日本におけるBEVラインナップはどうなりそうですか。

上野 基本的には欧州で発売されるクルマは全部日本でも揃えたいと考えています。その手始めが、すでに発売しているEQAとEQCです。2022年以降は、順番は前後するかも知れませんが、EQB、EQE、そしてEQS・・・あとEQVはどうしようかという感じですね。ミュンヘン(IAA)で出たEQGが商品化されれば、日本にも入ってくると思います。
Gのお客さまは、新旧両モデルを持っていらっしゃる方も少なくないので、BEVもコレクションに加える方がいらっしゃるかも知れませんね。いずれにしてもBEVは積極的に導入していきたいですね。まだ思うように生産ができませんので、予定を立てるのはなかなか困難ですが。早く日常を取り戻して、安定的に供給できることを切望しています。

画像: 欧州、中国で先行発売される「EQB」。現地では2列シート仕様/3列シート仕様をラインナップ。日本発売を熱望。

欧州、中国で先行発売される「EQB」。現地では2列シート仕様/3列シート仕様をラインナップ。日本発売を熱望。

MM BEVに対するユーザーの関心はいかがでしょう。高そうですか。

上野 BEVに興味のある方は、たくさんいらっしゃる印象です。EQSについてはまだ具体的なことは発表していませんが、「最初の1台は私が買うから」というメッセージ付きの名刺をいただきました。全国の販売店に急速充電器が設置されてBEVのお客さまをちゃんとケアできますし、地域限定ですけれどハウスメーカーには「弊社の充電設備を建て主さんにお薦めしませんか」と提案しています。充電設備は後から施工するより新築時の方が工事は楽だし安上がりです。

MM 住宅を建てる時にクルマ用の充電設備を付ける人は多いのですか。

上野 増えていますね。いずれBEVの時代が来ることはみなさま理解されているようです。最初に200Vの引き込み工事をしてしまえば、あとはウォールボックスの設置工事をするだけです。マンションでも管理組合などで議論になるようですが、反対意見が出ても「充電設備のあるマンションは資産価値が上がる」というお話をすると、導入が決まることがあるようですね。

MM 多くの人が「次のクルマはどうしようか」という気持ちはあるでしょうね。

上野 BEVかハイブリッドかで悩んでいる方には「東京から名古屋まで毎日クルマで行きますか」と質問させていただいています。そういう使い方をされているならば、現時点ではまだハイブリッド車がいいでしょう。しかし、メルセデス・ベンツのクルマもいずれ全部BEVになるでしょうし、ある程度の距離なら電気で走りきれるようになっていくはずです。ピュアな内燃機関は、少しずつフェードアウトしていくでしょう。

MM AMGに関しても、いずれはエレクトリックオンリーになるのですよね。

上野 そういう方向だと思います。明日とか明後日とかそういう話ではないですけれど、電動車をベースにAMGのテイストを加えることになります。まずはハイブリッド化からでしょう。

MM 逆に古いクルマはそれ自体に価値があるという視点も生まれそうですね。

上野 棲み分けの時間はしばらくかかるかも知れません。とは言え、この転換期は馬や駕籠からクルマに変わって百何十年ぶりの大転換です。激動の時代の目撃者になるのは怖いような、嬉しいような。(写真:井上雅行、メルセデス・ベンツ)

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