日本のモータリゼーションとともに月刊モーターマガジンは発行を重ね、今号で800号を迎えた。その間、約67年。自動車業界は今、100年に1度という大変革期を迎えている。そこで、この特集では日本を代表するメーカーやインポーターのキーマンにインタビューし、近未来の展望やカーボンニュートラルへの取り組みなどを訊くことにした。訊き手:Motor Magazine編集長 千葉知充(Motor Magazine2022年3月号より)

圧倒的な歴史とブランド力の座に安住せず、さらなる改革を進めるメルセデス・ベンツ。「最も愛されるブランドへ」を実現するための次の一手を、そして2022年に描く将来への展望を、メルセデス・ベンツ日本の代表取締役社長 兼 最高経営役員(CEO)の上野金太郎 氏に訊いた。

画像: 【Profile】上野金太郎 :1987年 メルセデス・ベンツ日本入社。営業部、広報部、ドイツ本社勤務、企業広報課長、社長室室長を経て、2003年取締役、 2007年副社長、2012年12月より代表取締役社長兼最高経営役員(CEO)に就任している。

【Profile】上野金太郎 :1987年 メルセデス・ベンツ日本入社。営業部、広報部、ドイツ本社勤務、企業広報課長、社長室室長を経て、2003年取締役、 2007年副社長、2012年12月より代表取締役社長兼最高経営役員(CEO)に就任している。

デジタル技術を積極的に活用し、BEVの国内ラインナップ強化も

本誌 千葉知充(以下、MM) 今日はメルセデス・ベンツの「少し未来のこと」を伺いたいと思います。まずSDGs、カーボンニュートラルへの取り組みについて聞かせください。

上野金太郎氏(以下、上野) ダイムラーが策定したサスティナビリティ戦略「アンビション2039」では、2039年までにすべてのカーボンニュートラルを達成することを宣言しています。それに先立って「2030年までに可能な市場はすべて電動化する」という目標が設定されました。また「欧州の全工場を2032年までに、CO2ニュートラルにする」という方針も発表しています。

画像: 本国では発表されたが国内仕様の詳細はまだ明らかにされていない「EQS」。日本でも非常に高い関心が寄せられている。

本国では発表されたが国内仕様の詳細はまだ明らかにされていない「EQS」。日本でも非常に高い関心が寄せられている。

MM メルセデス・ベンツ日本としてはいかがでしょうか。

上野 私どもの施設をカーボンニュートラル化していきます。たとえば習志野のパーツセンターは電力の再生エネルギーの比率を上げることを考えています。また、「紙をなくそう」ということにも取り組んでいます。店舗の新設や改装でも、可能な限り熱を使わない、熱を出さない方向で設計を考えてもらっています。販売現場では契約実務のデジタル化も進み、車庫証明とか印鑑証明などを除き紙の書類を減らしています。

MM 日本への電動車導入は順調ですか。

上野 新しい戦略に準拠した電動車のラインナップを拡充しているところです。日本市場固有の事情もありますので、すべての車両をすぐにというわけにはいきませんが。まずは、内燃機関搭載車では、ISGやBSGと呼んでいる技術を搭載したハイブリッド化を徹底的にやります。もちろんPHEVもちゃんとやっていきます。PHEVはEV走行距離をもっと伸ばすのが目標です。
BEVの販売実績は、2021年が千百台超でした。半導体問題やコロナ禍で当初の予定に生産が追いつかなかったところもあり、本来ならもう少し販売台数を伸ばせたのかな、という印象はあります。
ただ、まだ一部分ですが販売現場のデジタル化が進んだことで、少ない在庫でもなんとかやりくりできたのかも知れません。比較的在庫に余裕があった時と比べると、コロナ禍でも販売店は中身の濃い商談をされていました。

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