優れた高速巡航安定性と俊敏なハンドリングの両立
いよいよ試乗開始だ。正面にはBMWオペレーティング7をOSに持ったデジタル表示の操作系、インフォテインメントが広がっている。新デザインが採用されたMスポーツステアリングのレザーの感触を楽しみながらスタートボタンを押すと、直6ユニットからやや金属的で澄んだエンジン音が耳に届く。
この3Lターボエンジンの最高出力は275kW(374ps)、最大トルクは500Nm。後輪駆動を重視した設定の4WDシステムと8速AT(ローンチコントロール付き)の組み合わせで、最高速度はリミッターで250km/hに制御される。
基本的に4シリーズから移植されたシャシは、従来型モデルのものよりも軽量で高剛性だ。そしてM240i xDriveには、Mスポーツサスペンション、Mスポーツブレーキ、さらにリアアクスルにはMスポーツデファレンシャルが標準で装備される。
スペックから予想していたが、ホイールベース延長の恩恵は、アウトバーンを走り出してすぐに感じられた。速度を問わず直進安定性が格段に向上し、レーンチェンジにおける挙動にも唐突な感じはなく、しなやかに完結する。
アウトバーンを出て、アップダウンと緩やかで見通しの良いコーナーが続くカントリーロードに入る。ここはスポーツドライビングにはうってつけの場所で、高いボディ剛性にワイドトレッド、クイックかつ安定したハンドリング特性が加わったコンパクトスポーツモデルならではの本領を楽しめた。3L 直6ターボエンジンの滑らかで鋭いピックアップ、強大なトルクはゴージャスで、時にはもったいないと思うほどであった。
フルモデルチェンジされた新型2シリーズクーペは、間違いなく進化していた。日常の足からロングツーリング、そしてスポーツドライブまでを容易にこなすことができるファーストカーである。
商業的には決して楽観的になれない後輪駆動のコンパクトスポーツクーペを継続したBMWの決断には、改めて敬意を表したい。生産は、BMWメキシコのサンルイポトシ工場で行われる。(文:アレキサンダー・オーステルン<キムラ・オフィス>/写真:キムラ・オフィス)
BMW M240i xDriveクーペ主要諸元
●全長×全幅×全高:4573×1838×1404mm
●ホイールベース:2741mm
●車両重量:1765kg
●エンジン:直6DOHCターボ
●総排気量:2998cc
●最高出力:275kW(374ps)/5500-6500rpm
●最大トルク:500Nm/1900-5000rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・52L
●WLTPモード燃費:11.3-12.3km/L
●タイヤサイズ:前235/40R19、後235/35R19
※2022年2月14日、新型2シリーズクーペの型式を修正いたしました。