上質な乗り味に思わずどこまでも走りたくなる
走り出しても好印象は増すばかりだ。エンジンは低速域からトルクがフラットに出ていてリニアトロニックとの相性は上々。アクセルペダルを無闇に踏み込まなくてもスーッと速度を乗せていってくれる。この滑らかさにはエンジン、トランスミッションだけでなく駆動系全体のフリクションの小ささも貢献しているのは間違いない。
乗り心地も期待以上だ。十分なストロークが持たされ、柔らかく動くサスペンション、当たりの丸いタイヤが相まって、どんな入力もしなやかにいなしてくれる。しかも、単にソフトなのではなくコシがあるとでも言おうか、姿勢変化はきれいに抑えられているのがまた良い。
上質なインテリアは縦型の11.6インチタッチディスプレイに先進のインフォテインメントを採用する。
高速道路に入ってもフィーリングは変わらない。右足に力を込めていくとスバルの水平対向ユニットらしい滑らかさでエンジンが軽やかに吹け上がり、それに力感もしっかり伴ってくる。速度が高まるほどに乗り心地はビシッと引き締まってきて、大きなうねりを超えても確かな接地感が伝わってきて不安感はないし、ステアリングのセンターもしっかりと出ているから、鼻歌交じりでクルージングできる。
実は途中で結構な雨にたたられたのだが、こうした場面でも落ち着いていられるのは本当にありがたかった。高い接地感もフルタイムAWDのスタビリティも効いているのだろうし、何よりスバルのAWDに乗っているというだけでみなぎる信頼感のようなものも確実にある。このブランド力は本当に強い。
もうひとつ挙げるならば、全方位に優れた視界やよく切れるステアリング、あるいは多くの情報がうまく整理された12.3インチフル液晶メーターの表示といった細部に至る配慮も、この安心感に大いに貢献している。この辺りは、まさにスバルのお家芸といったところなのだが、今回そのことを改めて実感させられたのだ。
どんな場面でも感じるスバルのAWDに乗っているという信頼感。
アイサイトXにも触れないわけにはいかないだろう。色々な場面で試してみて、50km／h以下の渋滞時のハンズオフや渋滞時発進アシストなども改めてそのメリットを実感したが、実はもっとも感心させられたのが車線内の中央維持性能だった。左右に蛇行したり、コーナーで外に膨らんでいったりといったことがなく、車線の中央をしっかりキープしてくれるのが、とても頼もしい。
この基本中の基本の部分が優れているからこそ、他の機能も安心して使うことができる。そう感じられたのである。
せっかくのX-MODEを使う機会がなかったのが残念だが、ともあれ心地よい走りに思わず予定より遠くまで走ってしまった。あいにく都内への帰路は渋滞中だというが別に構わない。ゆっくり行こう・・・そんな心持ちになっていたことには自分でも驚いた。
冒頭に、レガシィ アウトバックはユーザーの豊かなライフスタイルを想起させるクルマだと書いた。実際にはどうやらそれだけで なく、レガシィ アウトバックは乗る人をそんな満ち足りた生活へと導く存在に違いない。新型は、そんな「らしさ」がさらに際立ち、そして一層深みが増した存在になった。それが試乗を終えての偽らざる実感である。（文：島下泰久／写真：永元秀和）
ユーロNCAPで最高評価を獲得した世界トップクラスの安全性能
アウトバックの欧州仕様車は、欧州の安全性能評価プログラム、ユーロNCAPの2021年安全性能テストで、全クラスの中で最高得点を獲得し、最高評価「ファイブスター」に認定された。テストは「成人乗員保護」「子供乗員保護」「歩行者および自転車保護」「安全運転支援」の4項目あり、さらに、2021年に評価された全車種の中で最高得点を獲得し、スバルの継続的な安全性向上への取り組みの効果を実証した。
スバル レガシィ アウトバック リミテッドEX 主要諸元
●全長×全幅×全高：4870×1875×1675mm
●ホイールベース：2745mm
●車両重量：1690kg
●エンジン：対4DOHCターボ
●総排気量：1795cc
●最高出力：130kW（177ps）／5200－5600rpm
●最大トルク：300Nm／1600－3600rpm
●トランスミッション：CVT
●駆動方式：4WD
●燃料・タンク容量：レギュラー ・63L
●WLTCモード燃費：13.0km／L
●タイヤサイズ：225／60R18
●車両価格（税込）：429万円
スバル レガシィ アウトバック ラインナップ
Xブレイク EX（1.8Lターボ＋CVT／4WD）：414万7000円
リミテッド EX（1.8Lターボ＋CVT／4WD）：429万円
