2022年2月25〜27日、WRC(世界ラリー選手権)第2戦ラリー・スウェーデンが北部の都市ウーメオを起点に開催され、トヨタのカッレ・ロバンペラが優勝した。2位にはヒョンデのティエリー・ヌーヴィル、3位にはトヨタのエサペッカ・ラッピが入った。勝田貴元(トヨタ)は、初日のコースアウト→スタックからの出遅れを取り戻し、4位でフィニッシュしている。

出走順の不利を覆してロバンペラが2日目に首位に浮上

2021年はコロナ禍によって中止されたため、2年ぶりの開催となったラリー・スウェーデンは、今回から雪を求めて拠点を北部の都市ウーメオに移動。主催者の思惑通り、ステージは絶好のスノーコンディションとなり、初日に先頭スタートとなるロバンペラの苦戦が予想された。(開幕戦ラリー・モンテカルロの1位、2位であるセバスチャン・ローブ、セバスチャン・オジェの不参戦のため、4位のロバンペラが繰り上がり)

しかし、金曜日のオープニングループの3ステージは、レッキ(事前試走)時以上に深い雪となり、ラリー1車両が何台通過しても路面グリップが向上しない状態に。後続と比べてもスタート順の不利が少なくなったロバンペラは、この好機を活かして好タイムを刻み、首位に立ってラリーの主導権を握る。

さすがに午後のリピートステージでは先頭スタートの不利が出てタイムと順位を落としたものの、ここで上手くタイヤを労ったことが幸いして、この日最終のSS7で上位陣が軒並み摩耗したタイヤで大きくタイムを落とす中、2番手まで順位を戻して初日を終えた。

画像: ラリー初日にトップに立ったヒョンデ(i20)のティエリー・ヌーヴィル。一時後退したものの、エバンス(トヨタ)のリタイアもあり2位でフィニッシュ。

ラリー初日にトップに立ったヒョンデ(i20)のティエリー・ヌーヴィル。一時後退したものの、エバンス(トヨタ)のリタイアもあり2位でフィニッシュ。

独走のロバンペラにハイブリッドシステムのトラブル

勝負の土曜日、2番手スタートとなったロバンペラは一気にペースを上げて首位を奪うと、そのまま後続との差を広げていく。

前日首位だったヌーヴィルは、2度のドライビングミスで後退。僅差で食らいついていたトヨタのエルフィン・エバンスも、土曜日最終のSS15のフィニッシュ地点でコースアウトして規定外の道を通ったため、痛恨の10秒ペナルティの裁定を受けてしまう。

これで楽になったかと思われたロバンペラに、最終日の日曜日の朝、最後の試練が訪れる。今季から導入のハイブリッドシステムが不調となり、GRヤリス ラリー1はパワーブーストなしでこの日の4ステージを走らなければならなくなったのだ。

しかし、高速セクション中心のラリールートではそれが大きなタイムロスにつながることなく、ロバンペラはリードを保ったままフィニッシュ。自身3勝目、GRヤリス ラリー1にとっての初勝利を挙げるとともに、ドライバーズ選手権リーダーに浮上した。

やはり日曜日朝にハイブリッドシステムのトラブルでノーブーストでスタートしたエバンスは、雪壁に激突してリタイア。かわってヌーヴィルが2位でフィニッシュ、ランキングでも2位となっている。

画像: 優勝したカッレ・ロバンペラ(右)とコドライバーのヨンネ・ハルットゥネン。ハイブリッドシステムにトラブルが発生したがなんとか乗り切った。

優勝したカッレ・ロバンペラ(右)とコドライバーのヨンネ・ハルットゥネン。ハイブリッドシステムにトラブルが発生したがなんとか乗り切った。

次戦2022年WRC第3戦ラリー・クロアチアは、4月21日〜24日、首都ザグレブを起点に開催される。ラリー・クロアチアは2021年に初めてWRCとして開催、全ステージがターマック(舗装路)で行われるが、コーナーイン側の未舗装路部分をショートカットする「インカット走行」により砂利や泥が掻き出され、滑りやすくトリッキーな路面コンディションとなるのが特徴となっている。

2022年WRC第2戦 ラリー・スウェーデン 結果

1位:K.ロバンペラ(トヨタ GRヤリス ラリー1)2h10m44.9s
2位:T.ヌーヴィル(ヒョンデ i20 Nラリー1)+22.0s
3位:E.ラッピ(トヨタ GRヤリス ラリー1)+30.6s
4位:勝田貴元(トヨタ GRヤリス ラリー1)+2m19.4s
5位:G.グリーンスミス(フォード プーマ ラリー1)+3m20.4s
6位:O.ロズベルグ(フォード プーマ ラリー1)+5m39.4s
7位:A.ミケルセン(シュコダ ファビア ラリー2エボ)+7m11.1s
8位:O.C.ベイビー(シュコダ ファビア ラリー2エボ)+7m34.3s
9位:J.フッツネン(フォード フィエスタ ラリー2)+8m14.2s
10位:E.カウル(フォルクスワーゲン ポロ GTI R5)+8m24.8s

2022年WRCドライバーズランキング

1位:K.ロバンペラ(トヨタ)46
2位:T.ヌーヴィル(ヒョンデ)32
3位:S.ローブ(Mスポーツ フォード)27
4位:G.グリーンスミス(Mスポーツ フォード)20
5位:S.オジェ(トヨタ)19
6位:勝田貴元(トヨタ)18

2022年WRCマニュファクチャラーズランキング

1位 トヨタ 83
2位 Mスポーツ フォード 59
3位 ヒョンデ47

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