圧倒的な存在感の強さを感じさせる「ディフェンダー」
最初に試乗したのは、ランドローバーの新型「ディフェンダー」だ。2019年9月のフランクフルト モーターショーで発表され、日本でも2019年暮れに先行予約を行い、2020年4月より本格導入が始まっている。
新型が登場する前の「ディフェンダー」は、ランドローバーの70年以上におよぶオフローダーの歴史を、もっとも色濃く残すモデルであった。武骨なまでのスクエアなルックスにプリミティブなメカニズムで、走破性は優れているものの快適性は二の次だった。
ところが、2019年に発表された新世代モデルは、従来のデザインアイコンを活かしつつ見事なモダン化を実現。デザインがモダンというだけでなく、パワートレーンも2Lのガソリンエンジン、48Vマイルドハイブリッド(MHEV)の3Lディーゼル、さらにはプラグインハイブリッド(PHEV)まで設定。最新のインフォテイメントシステムからソフトウエアの通信アップデート「OTA」機能までを装備。もちろん、900mmの渡河性能をはじめとする優れた走破性は継承されている。まるでクラシックミニがBMW MINIになったような、見事なアップデートを果たした。
試乗車はロングボディの5ドアモデルである「ディフェンダー110」の48Vマイルドハイブリッド付き3L ディーゼルのXグレード。車両価格は1197万円だ。576万円の「ディフェンダー90」の3ドアから始まるラインナップの中でトップグレードにあたる。
実車を前にして思うのは、圧倒的なまでの存在感の強さだ。従来モデルのイメージを残しつつ、金属の塊から削り出したかのような力強さを感じさせる。文句なしにカッコ良い。直線基調の意匠を採用するインテリアも個性的だ。華美さや豪華さではなく、機能優先という質実さを感じさせる。最新最先端の機能をアピールするドイツ車とは、まったく違った方向を向いているのが面白い。
搭載される3L 直6ディーゼルターボは低速域からトルクフル。しかも、振動も騒音もミニマムで、ジェントルそのもの。フラットでしなやかな乗り心地の良さも魅力だ。もちろんACC(アダプティブ クルーズコントロール)などの先進運転支援システムを満載。以前までの「実用車」ではなく、最新モデルはプレミアムカーの風格を感じさせる乗り味だった。
■ランドローバー ディフェンダー 110X D300 主要諸元
●全長×全幅×全高:4945×1995×1970mm
●ホイールベース:3020mm
●車両重量:2340kg
●エンジン:直6 DOHCディーゼルターボ+モーター
●総排気量:2996cc
●最高出力:221kW(300ps)/4000rpm
●最大トルク:650Nm(66.3kgm)/1500−2500rpm
●モーター最高出力:18kW(24.5ps)/10000rpm
●モーター最大トルク:55Nm(5.6kgm)/1500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:フロント縦置き4WD
●燃料・タンク容量:軽油・89L
●WLTCモード燃費:9.9km/L
●タイヤサイズ:255/60R20
●車両価格(税込):1197万円