Cクラス初のクロスオーバーモデル「オールテレイン」
初代Cクラス(W202/S202型)から数えて5世代目となるメルセデス・ベンツの現行Cクラス(W206/S206型)。現在セダン(W206)とステーションワゴン(S206)がラインナップされているが、そこに3つ目のボディタイプとして加わったのがこの「オールテレイン」である。
デザインは2017年に導入されたEクラスのオールテレインに準じたもので、メルセデス・ベンツのSUVモデルと共通デザインとなるシングルルーバーのフロントグリルとアンダーガードが付いた専用バンパー、マットグレーのホイールアーチとサイドシルガードが備わり、約40mm高められた最低地上高によって力強いオフローダーに仕上がっている。
ベースとなるCクラス ステーションワゴンは、先代(S205型)に比べて、全長4755(+50)mm、全幅1820(+10)mm、全高1455(+15)mmとボディサイズが全方向に拡大されているが、オールテレインではフェンダーモールや最低地上高のアップによって全幅1840mm、全高1495mmとCクラスの中でも最大サイズとなる。しかし、試乗してまず最初に驚いたのは運転のしやすさだった。
先に比較対象としてステーションワゴンのC220dを運転していたのだが、車高が40mmアップされただけでも運転席から見える景色は違った。アイポイントは高くなり、見晴らしが良くなる。元々Cクラスは運転しやすいクルマだと思っていたが、さらに扱いやすくなっていた。たった40mmの違いだが、それによって乗降性も向上、最低地上高も十分に確保できているから下回りを気にする必要もない。それでいて車高の高いSUVに比べれば死角も少ないなど、いいこと尽くめである。
インテリアはCクラス セダン/ステーションワゴン共通のデザインで、大型の11.9インチのメディアディスプレイが特徴。ボイスコントロール可能な第2世代のMBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)を採用している。直感的に操作が可能なタッチパネルや音声認識は走行中には便利な機能だが、ダイナミックセレクトやアクティブパーキングアシスト、車両クイックアクセスなどよく使う機能は物理スイッチとして残しているのはありがたい。
搭載されるエンジンは、先に登場したセダン/ステーションワゴンのC220dと同じ2L直列4気筒のディーゼルターボ。これは従来のC220dに搭載されていた「OM654」をストロークアップしたもので、排気量は44cc拡大して1992ccになり、エンジン型式も「OM654M」となっている。
このエンジンはメルセデスのディーゼルでは初となる48V電気システムとISG(Integrated Starter Generator)を組み合わせたマイルドハイブリッド仕様で、スペックは最高出力200ps/4200rpm、最大トルク440Nm/1800-2800rpmを発生。加速時には15kW、200Nmのモーターアシストが加わる。
力強いディーゼルターボと9速ATの組み合わせで、ゆったりと走っている時は1800rpm前後でシフトアップし、60km/h巡航時の回転数はわずか1000rpm。室内の遮音性が高いため、ディーゼル特有のカラカラ音もほとんど聞こえない。ロードノイズや風切り音も少ないから室内は静寂そのもの。