近年の重量級車両ではタイヤの「LI」も気にしたい
タイヤ交換するとき、ブランドを選定し、タイヤサイズを決めていくだろう。このときそのクルマに合ったタイヤサイズにすることが重要になる。
基本的にはオリジナルと同じサイズをおすすめするが、サイズを変える場合でもタイヤ空気圧ラベルに書いてあるタイヤサイズなら装着できるはず。しかしそこに書かれていないタイヤサイズを履くなら外径(タイヤの直径)を合わせる必要がある。これを合わせないとスピードメーターの表示を狂わせ、サスペンションジオメトリーの接地点と作動点が設計の意図どおりにならず、ハンドリング性能の低下を招くことも考えられるからだ。
外径の計算は簡単な算数でできる。たとえば、245/45R20というサイズならタイヤ幅が245mm・45%偏平なので、ゴムの高さは245×0.45=110.7mmと算出。さらにホイールの直径が20インチ(=508mm)だから、タイヤ外径(直径)は計算上729.4mmになる。
フェンダーの中に収まるからいいというものではなく、良いハンドリング性能や正しいハンドル手応えのためにはサイズチェックが、そして算出した数字からタイヤを選ぶことが大事なのだ。
最近はバッテリーを大量に搭載したBEVが増えている。エンジン車なら2トン程度で収まる車両重量がBEVになると軽く2.5トンを越えることも多い。BEVでなくても人気のSUVやミニバン、クロスオーバーモデルなどの車両重量は重い傾向にある。
そんな車種のタイヤ交換はサイズだけでなく、ロードインデックス(LI)もチェックしなければいけない。LIは荷重指数で、タイヤがどれだけの荷重に耐えられるかを指数にしたものだ。
先ほどの245/45R20のタイヤの場合、その表記の続きに「103W EXTRA LOAD(エクストラロード=XL)」と書いてある。この103が負荷能力=875kgを意味する。XLではないこのタイヤサイズ本来の負荷能力は99(775kg)だから、XLとなったことで1輪当たりプラス100kg・4輪で400kg増えたことになる。
XLは耐荷重性能強化タイプを意味するから、交換するタイヤも安全に走るためにXLを選ばなくてはならない。XLは内部構造を強化しているから、重量増に合わせて高い車両指定空気圧でもそれに耐えられる能力があるということだ。
逆に標準装着タイヤがXLではなく、交換したタイヤがXLだった場合、同じ空気圧にしたのでは負荷能力の低下を招いてしまうので、車両指定空気圧より高めにしなければならない。詳しくはカタログを見るかショップに聞くことをおすすめする。(文:こもだきよし)