世界的な人気と需要に応えて、各ブランドは新しい個性を持つモデルを相次いで展開している。そして、いわゆる「Bセグメント」と呼ばれるコンパクトなサイズのSUVにも、その人気の高まりとともに新たなトレンドが生まれつつある。そこでMotor Magazine誌では、ルノー キャプチャー、プジョー2008、ボルボ XC40に注目。ちょっとお洒落な雰囲気を楽しませてくれるBセグメントSUVにはどんな独自の個性があるのか、その魅力を探っている。(Motor Magazine2022年5月号より)

独自のポジションを確立。戦略的にも巧みなXC40

さて、3台目はスウェーデンのブランド、ボルボのXC40だ。エクステリアもインテリアも、シンプル&クリーンなスカンジナビアンデザインで統一。とくにインテリアは洗練された心地良い空間となっている。

試乗車はシックでスポーティなインテリアだがグレードによってはオレンジのフェルトが使われていたり、ポップな雰囲気のものもある。上質だけれどもカジュアル、デザイナーの言葉を借りれば「革靴ではなくレザーのスニーカー」だという。

画像: ボルボXC40 B4 AWD Rデザイン。量感のあるボディデザインが生む安心感と堅実さには、ボルボならではの価値観が表現されていると思えるもの。すでに全モデルで電動化を実現していることも大きな特徴である。

ボルボXC40 B4 AWD Rデザイン。量感のあるボディデザインが生む安心感と堅実さには、ボルボならではの価値観が表現されていると思えるもの。すでに全モデルで電動化を実現していることも大きな特徴である。

搭載されるエンジンは2L直列4気筒ターボのマイルドハイブリッドで、最高出力145kW(197ps)/4750-5250rpm、最大トルク300Nm/1500-4500rpm。パワフルで滑らかな加速、直進性の高さ、乗り心地、いずれも明らかにワンクラス上の乗り味だ。

とはいえ、他の2台と横並びで比較するのはフェアでない。エンジン排気量が大きくて4WD、価格帯も違い過ぎるから。つまり、ボディサイズはコンパクトでもより上級なクルマ、という選択肢もあるのだ。

今回の試乗モデル3台の位置付けを見ると、キャプチャー インテンス テックパックは上位モデルで319万円。なおベーシックグレードは299万円からだ。2008アリュールはベーシックグレードで324万9000円。いずれも、非常にコストパフォーマンスが高いと思う。国産BセグメントのSUVを見てみると、上位モデルで200万円台半ばから後半の位置付けが多い。細かな装備差はあるものの、今回の2台は、たとえば先進運転支援システムは標準で装備される。安全性も高く、個性的で運転が楽しく、国産車と比較しても競争力はあると思う。

そして、XC40 B4 AWD Rデザインは549万円。XC40のベーシックグレードは409万円から用意されるが、これがドイツプレミアムブランドとなるとベーシックグレードでも500万円以上と一気にハードルが上がる。ボルボはプロダクトも価格的にも独自なポジションにいることがわかり、やはりバリューフォーマネーなクルマなのだ。

優しい演出を楽しみつつ、味わい深きドライブに浸る

画像: キャプチャー(前)は1.3L直列4気筒ターボ、2008(中央)は1.2L直3ターボ、そしてXC40は2L直4ターボMHEVと特徴あるパワートレーンを搭載。

キャプチャー(前)は1.3L直列4気筒ターボ、2008(中央)は1.2L直3ターボ、そしてXC40は2L直4ターボMHEVと特徴あるパワートレーンを搭載。

パンデミックは徐々に落ち着きウィズコロナの生活にも慣れつつある。国によっては海外渡航時の隔離制度も解除されたが、それでもかつては身近だった海外旅行にはまだちょっとハードルの高さを感じて、以前ほど気軽なものではなくなった。

なので、そんなご時世だからこそ、日常に異国のエッセンスを取り入れて、ドライブを味わい深いものにするという「冒険」を楽しんでみるのはどうだろう。

先日、同業の友人と話したのだが、お互いにSUVを所有しており、まったくキャラクターは異なるものの、どちらもその癒し系の乗り味がお気に入りだ。「やっぱり、普段乗りはゆったりまったりが良いよねー」と。その点、今回の3車は、いずれも優しい気持ちにしてくれることは間違いない。(文:佐藤久実/写真:永元秀和)

ルノー キャプチャー インテンス テックパック 主要諸元

●全長×全幅×全高:4230×1795×1590mm
●ホイールベース:2640mm
●車両重量:1310kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●総排気量:1333cc
●最高出力:113kW(154ps)/5500rpm
●最大トルク:270Nm/1800rpm
●トランスミッション:7速DCT(EDC)
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム:48L
●WLTCモード燃費:17.0km/L
●タイヤサイズ:215/55R18
●車両価格(税込):332万円

プジョー 2008 アリュール 主要諸元

●全長×全幅×全高:4305×1770×1550mm
●ホイールベース:2610mm
●車両重量:1270kg
●エンジン:直3DOHCターボ
●総排気量:1199cc
●最高出力:96kW(130ps)/5500rpm
●最大トルク:230Nm/1750rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム:44L
●WLTCモード燃費:17.1km/L
●タイヤサイズ:215/60R17
●車両価格(税込):324万9000円

ボルボ XC40 B4 AWD Rデザイン 主要諸元

●全長×全幅×全高:4425×1875×1660mm
●ホイールベース:2700mm
●車両重量:1720kg*
●エンジン:直4DOHCターボ+モーター
●総排気量:1968cc
●最高出力:145kW(197ps)/4750-5250rpm
●最大トルク:300Nm/1500-4500rpm
●モーター最高出力:10kW/3000rpm
●モーター最大トルク:40Nm/2250rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・53L
●WLTCモード燃費:14.2km/L
●タイヤサイズ:235/50R19
●車両価格(税込):549万円
*取材車はオプションのチルトアップ機構付電動パノラマガラスサンルーフ装着(+30kg)のため1750kg

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