トラディショナルでありながら、さりげなく先進的
ミッドシップスーパースポーツのMCに続くマセラティの新世代モデルは、同クラス初参入となるミディアムプレミアムSUVだった。車名は「グレカーレ」という。
MCに続いて新しいアイデンティティの縦型ヘッドライトを採用した外観は、兄貴分であるレヴァンテと同様にスポーティさが強調されている。一方、インテリアはワイド画面のタッチスクリーンを採用するなどして先進的な雰囲気に。ダッシュボード中央の時計は変わらない・・・と見せかけて、実はこちらも遂に豊富な機能を持つデジタル式とされている。
室内の広さもグレカーレのセールスポイント。2901mmもあるホイールベースのおかげで後席はゆったりと座れるし、荷室の容量も大きい。約4850mmの全長はミディアムというには少々大きめだが、その恩恵はしっかりとある。
テンションを上げてくれる「トロフェオ」の走り
今回、イタリアはミラノで試乗したのは2L直列4気筒ターボエンジンと電気モーター、そしてeブースターと呼ばれる電気式スーパーチャージャーを組み合わせたマイルドハイブリッドの「GT」と、MC譲りのプレチャンバー燃焼を採用した3L V型6気筒ツインターボエンジンを搭載する「トロフェオ」。市街地中心でも、その走りは胸踊らせるものだった。
トロフェオの印象の多くを占めるのは、やはりエンジン。530psという最高出力も痛快だが、とくに中〜高回転域での右足の操作に対する追従性の高さにはクルマとの強い一体感を覚え、テンションが上がる。剛性感たっぷりのボディによく動くサスペンション、正確なハンドリングのおかげで、フットワークも爽快だ。
気持ち良さではGTだってヒケは取らない。eブースターの効果で全域でピックアップが良く、しかも回せば4気筒エンジンらしからぬ気持ち良いサウンドを響かせるパワートレーンは、ちゃんとマセラティらしい。
2022年末から23年初頭の日本導入を目指しているというグレカーレ。GTで800万円台後半からという価格もあわせて、激戦の市場で大きな存在感を発揮しそうな1台と言える。なお、この後には初のBEV版となるグレカーレ フォルゴーレも追加の予定。こちらも早く試してみたいところだ。(文:島下泰久/写真:マセラティジャパン)