佇まいはあくまでさりげなく。過度に性能を主張することはない
2009年1月、デトロイトで開催された北米国際モーターショーでワールドプレミアされたリアルスポーツセダンが、クアトロポルテ スポーツGT Sだ。日本でも5月に発表、この8月よりデリバリーが開始されている。
スポーツGT Sは、今年初めに日本上陸した新世代クアトロポルテSをベースに、さらにスポーツ性を高めた「シリーズ最強モデル」という位置づけとなる。搭載されるエンジンは4691cc V8DOHCで、排気システム系の見直しがなされたことで、最高出力はクアトロポルテS比で10psパワーアップした440psを発生。MCオートシフトと呼ばれる新開発ソフトウエアを採用した6速ATとの組み合わせにより、クアトロポルテSに対し0→100km/h加速は0.3秒速い5.1秒、最高速度もプラス5km/hを獲得して285km/hというパフォーマンスを得ている。
専用20インチ大径アルミホイールを履き、さらにローダウンされたスポーツGT Sは、確かにノーマルのクアトロポルテやSとは異なった印象を受けるが、殊更にそのスポーツ性をアピールするようなことはない。
縦スリットの入るブラックグリルは、グラントゥーリズモと同様に内側へとカーブするオリジナルのデザインを採用するが、それもまたさりげなく、ごく自然な外観にまとめられている。
インテリアも同様だ。たっぷりとした本革とアルカンタラのコンビネーションからなる専用シート、手触りの良いアルカンタラ巻きのステアリングホイールとシフトノブ。ステアリングコラムから生えたパドルシフトが大型化されたことやセンターコンソールなどにカーボン調のデザインが施されていることを除けば、ストイックなスポーツイメージはなくむしろ瀟洒なラグジュアリー感を漂わせる。