PHEV、1.2Lガソリンターボ、1.6Lディーゼルターボ、どちらを選ぶ?
実は僕が渡仏していたのは、これから日本にも導入されることになっているプラグインハイブリッドモデルのE-TENSEに先行試乗するためだった。もちろん帰国してから1.2L 3気筒のガソリンターボ、1.5L 4気筒のディーゼルターボにもちゃんと試乗している。
そうなると3つのパワートレーンのどれがベスト?と論じたくなるのがクルマ好きの常。もちろん3車3様で乗り味は異なってるのだけど、おあつらえ向きに仕様は3車ともにアクティブスキャンサスペンションを備えたリヴォリだった。
走行モードでコンフォートを選んだときに、フロントのカメラで前方の路面をセンシングすることでオウトツを識別し、4輪の可変ダンパーを制御していくものだ。同じ仕組みを使っていても搭載するパワートレーンの違いでそれぞれ微妙に乗り味が異なるのだが、基本的にはコンフォートモードに入れた次の瞬間からサスペンションの伸びたり縮んだりするストロークが豊かになって、芯はあるもののゆったりとした穏やかな乗り心地を感じさせてくれるようになる。
DS4は姉妹車といえるプジョー308同様、最新世代のEMP2プラットフォームを基本骨格にしている。アクティブスキャンサスペンションを持たないDS4は未体験なのだけど、味つけはおそらく異なれど同じプラットフォームに同じ形式のサスペンションを持つ308でも快適といえるレベルにあるから、ラグジュアリー志向のDS4も心配することはないのかも知れない。
けれど、アクティブスキャンサスペンションが効いているときのDS4は、決してふわっとした柔らかさではないのだけど、ちょっと荒れてる程度の舗装路なら、その振動を巧みに吸収して、しなやかでフラットな乗り味を提供し続けてくれた。Cセグメントでは間違いなく頂点級といえる乗り心地のよさだ。
もっとも似つかわしいパワートレーンはE-TENSEか
その足腰をもっとも素晴らしいかたちで活かしているのが、E-TENSEだ。1.6L 4気筒のガソリンターボで180ps/250Nm、モーターで110ps/320Nm、システム全体では225ps/360Nmとなるこのパワートレーンは、ほかの2車と較べて段違いに速い。
重心位置も異なるため、ハンドリングも望外にスポーティだ。が、それだけでなく重量がかさんでる分バネ下の余計な振動を押さえ込むのか、もっとも上質で高級感のある乗り味を示してくれた。モーターだけでも走るし、エンジンが始動してからもアシストが力強いからアクセルペダルを強く踏み込む必要もなく、車内をもっとも静かに保つことができるのもPHEVならでは。そういう意味ではもっともDS4に似つかわしいパワーユニットといえるだろう。
130ps/230Nmのガソリンと130ps/300Nmのディーゼルはどうか。2車を比較するなら、これはもう好みで決めるしかないだろう。ディーゼルの強力なトルクを素晴らしいと思う反面、エンジン重量がほどしか変わらないので期待してたほど安定感の上積みはないが、なぜかガソリンの方ではフットワークの軽さを感じ、個人的にはガソリン推し。
ガソリンもディーゼルもPHEVほど室内の静けさを保てないが、ガソリンの方がやや静かに感じられたことも大きいと思う。けれど総合力で選ぶなら、PHEVパワートレーンそのものの出来映えも素晴らしいE-TENSEが、間違いなく最良のDS4だと思う。
ただ、考えどころがないわけでもない。同じリヴォリで比べた場合、ガソリンが449万円、ディーゼルが469万円と、この差は20万円。そしてE-TENSEは572万円とガソリンよりも123万円、ディーゼルよりも103万円ほど高価なのだ。この差額をどう捉えるか。購入を真剣に考えるには悩ましいところだ。(文:嶋田智之/写真:井上雅行)
DS4 ラインナップ
DS4 トロカデロ(1.2Lガソリンターボ):398万円
DS4 リヴォリ(1.2Lガソリンターボ):449万円
DS4 リヴォリ ブルーHDi(1.5Lディーゼルターボ):469万円
DS4 リヴォリ Eテンス(1.6Lガソリンターボ+モーター):572万円
DS4 リヴォリ(ピュアテック) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4415×1830×1495mm
●ホイールベース:2680mm
●車両重量:1420kg
●エンジン:直3DOHCターボ
●総排気量:1199cc
●最高出力:96kW(130ps)/5000rpm
●最大トルク:230Nm/1750rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・52L
●WLTCモード燃費:17.7km/L
●タイヤサイズ:205/55R19
●車両価格(税込):449万円