ベンテイガのオフロード性能は?
ここで少し休憩を入れて、SUVモデルのみが入ることを許されるオフロードエリアへ。もちろんベンテイガでの体験となりますが、ここでの運転は危険も伴うためドライバーをオフロードエリア専門インストラクターにバトンタッチ。助手席に移動しての同乗試乗となります。
まず、丸太の橋を渡ってからシーソーを登り、ぐるーっと周って川床を模した砂利道コースを通過。そして、いよいよ目玉の急坂にチャレンジです。この坂の斜度は28度・32度・38度の3種類を用意され、とくに一番傾斜のきつい38度斜面はまるでジェットコースターのよう。見上げるだけでもスリリングです。
ちなみにこのコース、上り坂の手前のスペースが極端に狭く、助走をつけるなんてズルはできません。ベンテイガの車両重量は2415kg、そんな巨体を550ps/770Nmの圧倒的パワーと緻密に制御された4WDシステムにより力強く登っていきます。
坂を登ることはできても、帰ってこられなければ意味がありません。下り坂はどうなのでしょうか。ベンテイガにはヒルディセントコントロールが搭載されており、これをオンにするとクルマが路面の状況を検知して、2〜30km/hの間で自動制御してくれます。しかも、前進時だけでなく後退時にも対応しているという念の入れようです。
まるで真下を向いているかのような急な下り坂を、クルマが車速をコントロールしながら下っていきます。この間、インストラクターの右足はブレーキペダルから離れていました。
ちなみに、このヒルディセントコントロールは自動でオフにならないので、坂を下り終えた後にうっかりそのまま走行していると、ちょっとした坂道で傾斜を検知しアクセル・ブレーキの自動制御が行われてしまいます。もしもベンテイガをオフロードで走らせようという猛者がいらっしゃれば、遊んだ帰りにヒルディセントコントロール機能をオフにすることをお忘れなく。
人生初のドリフト・・・これは成功なのか?
最後にやってきましたドリフトサークル。スプリンクラーで散水されて滑りやすくなった路面を、ぐるぐる旋回することで限界性能を試すエリアでの体験です。ここではベンテイガ 、フライングスパー、コンチネンタルGTコンバーチブルの順に試乗しました。
ベントレーモデルはどれも車両の限界が高く、50km/hで旋回していてもまだタイヤが路面をグリップして走れてしまいます。また、それ以上の速度を出して意図的に滑らせようとしても、グリップを失う前にESC(エレクトロニックスタビリティコントロール)が自動的に軌道を修正してくれます。走行安定性の高さを体験できた反面、これではドリフト走行ができません。
そこでESCをオフにして再び走り出しますが、オーバーステアになりにくい車両特性を与えられているみたいで、なかなか後輪を滑らせることができません。これはベントレー車両に共通したアクティブ四輪駆動システムによるもので、路面の状況に応じて駆動配分を変化させ、滑らないようにしているのです。
続いて、コンチネンタルGTコンバーチブル。このモデルの駆動配分は前3:後97〜前38:後62の間で自動制御されるため、他の2モデル同様に滑らせるのが難しくなっています。しかし試乗3台目ということもあり、少しずつコツを掴んできました。
ベンテイガやフライングスパーよりも駆動配分を後輪重視にセッティングされていることもあって、前輪に荷重を移動させた瞬間にアクセルペダルをガツンと踏み込むことで、強制的に後輪を滑らせることがちょっとずつできるようになったのです。
ただドリフト初体験だったこともあり、適切なカウンターステアを当てるのは難しく、ドリフト状態を維持するということができませんでした。それでもインストラクターから「一応、ドリフトの一種だった」とお墨付きをいただきましたので、これをもって人生初のドリフト走行に成功! ということにさせてください。
今回の試乗会で感じたこと
今回試乗したベントレーの3車種はSUV、セダン、コンバーチブルとボディ形状が違うため、それぞれの個性がある一方で、ラグジュアリーとパフォーマンスという本来相反するものを高度に両立させているという共通点があります。こうした欲しい機能全部載せスタイルと、どんなドライバーに対しても最高のおもてなしによってドライビングを楽しませてくれる「ベントレーワールド」はカーライフの極みなのではないでしょうか。
また、現時点でオーナーでなかったとしても、いずれはベントレーのオーナーになれるようにこれからの人生を頑張っていきたいという憧れを抱かせてくれる、そんなブランドであるのだと感じました。(ちなみに私は、コンチネンタルGTコンバーチブルに心奪われましたが、お値段なんと3000万円超。これは相当稼がなくては・・・よし、頑張るぞ!)