BMWの電動車のラインナップに加わった、車名に「M」を冠したiXと4シリーズのボディに電動パワーユニットをインストールしたi4。この2台から、電動車にもBMWのスピリットは宿っているのかを検証する。(Motor Magazine2022年9月号より)

BMWエンジンのファンも唸らせるほどの爽快感

ここへきて一気に世に送り出されたBMWのiモデルは、かつてあまりに奇抜で我々を驚かせたi3とi8とは違う。iXはユニークだが、常識の範囲だ。

画像: BMWはBEVのドライバビリティをかつてない境地に導いた。(左:iX M60、右:i4 eDrive40 Mスポーツ)

BMWはBEVのドライバビリティをかつてない境地に導いた。(左:iX M60、右:i4 eDrive40 Mスポーツ)

i4は見てのとおり4シリーズグランクーペのBEV版となる。Mモデルもあるが、今回試乗したのは、i4 eDrive40だ。一方のiXは、現時点で最上級グレードであり、Mモデルの一員となるiX M60だ。車種名に数字がないのは、BMWのコンセプトをもっとも端的に体現した、その頂点に位置するクルマだからだという。

そんな電動駆動となった最新のBMWに"駆けぬける歓び”はあるのか?それがどのように表現されているのかを探ってみた。

いまや世にあるBEVの選択肢はずいぶん豊富になり、そのほとんどをドライブした経験のある身としては、どれもおおむね走りがよいと感じている。リニアなレスポンスと力強い低速トルクは、同じことをエンジンで再現するのは簡単ではないように思うほどだ。

今回の2台もよくできていて乗りやすく性能も申し分ない。そのうえで、いくつかプラスアルファで感じたことがある。まず、アクセルペダル踏み込んだときに心なしか内燃エンジンの吹け上がりにも通じるフィーリングが垣間見えたことだ。とくにMモデルのiXでそれを感じた。

エンジンメーカーをルーツとするBMWが手がけたBEVはそうであって欲しいという思い入れや刷り込みのせいかもしれないが、iX M60にはどことなくシルキーシックスを思わせるものがある。iXのモーター、いや「エンジン」は、我々がBMWに求める期待に応えることができている。

ハンドリングの個性もそれぞれ。iXの挙動には軽快感あり

動力性能自体も、今回のiXはさすがは「M」の「60」だけのことはある。蹴り出しの力強さはもちろん、その勢いを維持したまま、とてつもない速さで加速する。

画像: iX M60。既存のBMWのSUVとは一線を画す、シンプルでありながら強い存在感も持ち合わせたデザインだ。

iX M60。既存のBMWのSUVとは一線を画す、シンプルでありながら強い存在感も持ち合わせたデザインだ。

アイコニックサウンドとネーミングされたSF映画のようなサウンドも面白い。走り方に合わせて、より高揚感を高めるよう演出している。標準モデルにも設定されているが、Mモデルのほうがより音が派手で走りを楽しめる。

一方のi4にも上位にMモデルのM50があるが、Mではない「40]でも動力性能は十分。4シリーズでいう「M440i」に近い最高出力を発揮するポテンシャルがあるので、速さとしてはまったく不満はない。けっして「エンジン車に負けている」とは感じさせない性能を身に着けている。

さらにはハンドリングは、もともとBMWが掲げる「駆けぬける歓び」はエンジンだけでなくハンドリングも同じくらいか、それ以上に寄与しているとかねがね感じていたが、今回の2台もそれぞれ期待に応えている。

この2台には、2WDと4WDという違いと、4輪操舵かどうかという違いもあり、ハンドリングもかなり違う。ハンドルの切り始めの応答性も異なり、重くホイールベースが長いiXのほうが回頭性がよく、応答遅れがより小さい。コーナリングのオンザレール感覚も高いように感じられたのは、4WSも効いてのことだろう。

やはり4WSというものはそれなりに価値があり、BMWは4WSのチューニングにも長けていることをあらためて感じた。

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