水素エンジン車ヤリスの登場にWRCファンもビックリ
「トヨタ GRヤリス H2コンセプト」はカーボンニュートラルへの取り組みを伝えるべく開発されたモデルで、日本でもスーパー耐久に参戦して大きな話題を集めているが、一般公道、しかも海外の公道を走行するのは初めてのことで、WRCファンにとってもビッグサプライズとなった。
このデモンストレーション走行は欧州のWRCファンに「水素エンジン車の走り」を見ていただき、「水素エンジンの排気音」を聞いていただこうと企画されたもので、FIA、WRCプロモーター、オーガナイザーなど各方面の協力により、競技開始前にステージの安全を確認するため走行する「セーフティカー」の1台として登場した。
デイ1の8月19日は元WRC4冠王者ユハ・カンクネンがドライブ、デイ2の8月20日は助手席にカンクネンを迎えてモリゾウこと豊田章男社長がステアリングを握り、全長15kmのSS11を走行。また、最終日デイ3の8月21日には再びカンクネンがドライブ。モリゾウはコドライバーとして助手席に乗り込み、パワーステージの開始直前に走行した。
もともとカンクネンのドライブでデモンストレーション走行が行われる予定だったが、カンクネンの計らいで、イープルを訪れていたモリゾウもステアリングを握ることになったという。
イープル・ラリーのスペシャルステージは道幅が非常に狭い農道の舗装路で、選手権に出場したプロのラリーストでも手を焼く難解なコース。モリゾウにとっては初めての道、走行前の下見も自身でできないままでの走行だったが、滑りやすく刻々と変化する路面と対話して無事に走り切った。
モリゾウこと豊田章男社長の走行後のコメント
「今回、カンクネンさんの好意で運転させていただくことができ、感謝しています。私の運転に合わせて案内してくれたので、気持ちよく走行できました。路面が刻々と変わり、滑るうえに狭いので難しい道でした。ジャパンラリーの道に似ていて、観戦していただけるお客様への対応に向けても良い経験になったと思います。会場にはミライによる電源供給のデモもあり、水素エンジンの走行と合わせて、CN(カーボンニュートラル)の達成に向けた選択肢のひとつとして水素の可能性を欧州でも見ていただけたと思っています」
ユハ・カンクネン選手のコメント
「アキオの運転はすばらしかった。水素エンジンも非常にトルクがあり、ガソリンエンジン車と変わらない。CO2も出さないということで、モータースポーツはもちろん、一般車の世界でもカーボンニュートラルに向けた選択肢のひとつになると思う」