「フェルスタッペンのためのグランプリ」となるのか
シーズン後半戦の開幕となった前戦ベルギーGPでは勢力図がどう変わるか注目されたが、選手権をリードするマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が衝撃的な速さを見せて圧勝してしまった。年間使用規定数を超えたパワーユニットのエレメント交換によるペナルティによって14番手グリッドからのスタートとなったが、そこから2位に入ったチームメイトのセルジオ・ペレスに17秒以上の大差をつけるのだから、チームメイトもライバルたちももうお手上げといった状況だった。
しかも今週のオランダGPはフェルスタッペンの母国グランプリ。熱狂的なオレンジの大応援団がザントフォールト・サーキットに押し掛けるのは間違いなく、早くも「フェルスタッペンのためのグランプリ」というムードが漂っている。
また、ベルギーGPからの連戦でアップデートの時間は多くないことから、ライバルたちが大きくパフォーマンスを上げるのは簡単なことではないので、フェルスタッペンが圧倒的に有利な立場にあると言っていいだろう。
それでも、この3連戦でフェルスタッペンにハットトリックを決められたら、チャンピオンシップはほぼ決まりといった状況になるだけにライバルも諦めるわけにはいかない。なんとかこの3連戦で一矢報いたいところ。ベルギーGPでのフェルスタッペンの走りを見ると、イタリアGPでも圧勝する可能性が高く、フェルスタッペンを敗るなら不確定要素の多いオランダGPこそチャンスだろう。
フェラーリ、メルセデス、アルピーヌに期待がかかるが、ベルギーGPの結果をふまえて、彼らがどんな戦略で来るのか興味深い。
■2022年F1ドライバーズランキング(第14戦終了時)
1位 M.フェルスタッペン(レッドブル)284
2位 S.ペレス(レッドブル)191
3位 C.ルクレール(フェラーリ)186
4位 C.サインツ(フェラーリ)171
5位 G.ラッセル(メルセデス)170
6位 L.ハミルトン(メルセデス)146
■2022年F1コンストラクターズランキング(第14戦終了時)
1位 レッドブル 475
2位 フェラーリ 357
3位 メルセデス 316
4位 アルピーヌ・ルノー115
5位 マクラーレン・メルセデス 95
6位 アルファロメオ・フェラーリ 51
7位 ハース・フェラーリ 34
8位 アルファタウリ・レッドブル 29
狭くタイトなコースレイアウトだが意外と平均速度は高い
では、オランダGPが行われるザントフォールト(Circuit Zandvoort)はどんなサーキットなのだろうか。
ザントフォールトは1952年に初めてF1グランプリが開催された伝統のあるサーキット。騒音による問題などから長くF1のカレンダーから消えていたが、地元出身のフェルスタッペンの活躍により開催の気運が高まり、コースを全面的に改修して、昨年、36年ぶりにF1グランプリが復活した。
全長4259mと比較的短いコースに、678mのホームストレートと517m/257mの2本のバックストレート、14のコーナーが配される。長いストレートはないがターン3とターン14にはバンクも設けられているため平均速度は高く、F1マシンは1分10秒ほどで周回する。
ただし、コース幅が狭い上に、ランオフエリアが砂地となる部分が多く、クラシカルな雰囲気が漂う、オーバーテイクが難しいコースとなっている。北海の海岸線に位置するビーチリゾート近くにあり、風が強く、飛来した砂により滑りやすい路面になるという特徴を持つ。また意外と起伏に富んでいることもポイントとなる。
ザントフォールト・サーキットでは、ユーロF3をはじめとするステップアップカテゴリーのレースが開催されている。