軽くトルクフルな最新世代ハイブリッドは、燃費性能も秀逸
そしてなにより、実際に乗り、走らせた時の「優しさ」にも、新型シエンタを積極的に選ぶアドバンテージの「予感」がある。
トヨタと自慢のシリーズパラレルハイブリッドユニット「ダイナミックフォース」は、排気量こそ従来モデルと変わらないものの(厳密には6cc減)、ガソリンエンジンを直4(1NZ-FXE)から直3(M15A-FXE)にスイッチ。小型軽量化、高効率化を徹底しながら最高出力は+17ps(91ps)、最大トルクは+9Nm(120Nm)のゆとりが与えられた。
電気モーターについても19ps(80ps)が上乗せされており(トルクはなぜか-28Nm)、低速域からスムーズな加速を実現しているという。またハイブリッドモデルにもE-Four搭載の4WD仕様車が設定されたのは、朗報と言えるだろう。
もちろん1.8L直4のダイナミックフォースエンジン(2ZR-FXE)の98+95ps、142+185Nmに比べれば「非力」ではある。しかし車両重量はノア/ヴォクシーの1630~1670kg に対して1330~1370kgと(ハイブリッドモデル)、ほぼ300kg軽い。実際にWLTCモード燃費は、ノア/ヴォクシーの23.0~23.4km/Lから2割以上優れた、28.2~28.8km/Lを達成している。
なにゆえにニャンコではなかったのか、が理解できる進化ぶり
数値的な面だけでなく、実際の乗り味についても期待したい変化がある。とくに、ボディ構造についての細かな部分での創意工夫には要注目だ。
新型シエンタは、構造用接着剤やマスチック(シーリング材)に、「高剛性タイプ」と「高減衰タイプ」を使い分けたのが新しいポイント。乗員に近い部位には減衰性=しなやかさを備えた高減衰タイプを使うことで、不快な振動の伝達を抑制しているという。
同じく、ルーフパネルのシーリングにも同じく高減衰タイプを用いると、路面の段差を乗り越える時や雨天時などで、ルーフの振動を抑えて静粛性と乗り心地が向上する。そのため路面状況や天候に関係なく、高い快適性がキープされているようだ。
実は発表直後には、「どうしてニャンコではないのか」と疑問に思ったりしていた。だけれど、確かにこれは「猫」という感じではない。
総じて素直で忠実感あふれる新型シエンタは、あちらこちらに連れて行って元気に遊ばせてあげたい、気の置けないワンコ的存在だ。日々の買い物や週末のアクティビティといった、さまざまな暮らしのシーンで寄り添ってくれる存在として磨かれた「好性能」を、ぜひ実際にあれこれ試してみたいものだ。
■シエンタ ハイブリッド Z(7人乗り) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4260×1695×1695mm●ホイールベース:2750mm●車両重量:1370kg●エンジン:直3 DOHC+モーター●総排気量:1490cc●最高出力:67kW(91ps)/5500rpm●最大トルク:120Nm(12.2kgm)/3800-4800rpm●フロントモーター最高出力:59kW(80ps)●フロントモーター最大トルク:141Nm(14.4kgm)●トランスミッション:電気式無段変速機●駆動方式:横置きFF●燃料・タンク容量:レギュラー・40L●WLTCモード燃費:28.2km/L●タイヤサイズ:185/65R15●車両価格(税込):291万円
■参考:トヨタ ヴォクシー ハイブリッド S-Z 2WD 主要諸元
●全長×全幅×全高:4695×1730×1895mm●ホイールベース:2850mm●車両重量:1670kg●エンジン:直4 DOHC+モーター●総排気量:1797cc●最高出力:72kW(98ps)/5200rpm●最大トルク:142Nm(14.5gm)/3600rpm●フロントモーター最高出力:70kW(95ps)●フロントモーター最大トルク:185Nm(18.9kgm)●トランスミッション:電気式無段変速機●駆動方式:横置きFF●燃料・タンク容量:レギュラー・52L●WLTCモード燃費:23.0km/L●タイヤサイズ:205/55R17●車両価格(税込):367万円