BMWの上級モデルたちが、日本で初めて一定条件下での手放し運転を可能としてから、早くも3年が経った。中古車市場でも値ごろ感が出始めるタイミングかもしれない。もっともその恩恵を安心して受けるためにはやはり、どこかのタイミングで一度は、安全運転支援機能にまつわるシステムをしっかりチェックしておいた方がいいかもしれない。

日本初「ハンズ・オフ機能付き」モデルが登場してから3年経った

2022年9月、BMWの3シリーズが大幅改良を受けて、さらに魅力的に進化した。中でも、機能面での進化のひとつとしてピックアップされているのが、BMWが日本で初めて公道での使用認可を受けた「ハンズ・オフ機能」の搭載だ。

画像: 日本における自動運転レベル2の先駆けと言えば日産。だが正式に「プロパイロット2」搭載モデルが市販されたのは、搭載は同年7月16日にデビューしたV37型スカイラインからだった。そのため6月24日に発表された新型BMW X7が、認可という意味ではわずかに先んじて「日本初」になっている。少々ややこしい。

日本における自動運転レベル2の先駆けと言えば日産。だが正式に「プロパイロット2」搭載モデルが市販されたのは、搭載は同年7月16日にデビューしたV37型スカイラインからだった。そのため6月24日に発表された新型BMW X7が、認可という意味ではわずかに先んじて「日本初」になっている。少々ややこしい。

SAE(Society ofAutomotive Engineers)規定に則れば「自動運転レベル2」相当だけれど、ハンドルを常に握りしめていなくてもいい、という意味では、ACCやLKAにプラスαの機能が備わっていることになる。いわば「レベル2.5」と言ったところか。これでよそ見(アイズオフ機能)が許されれば、立派に「レベル3」になれるかもしれない。

そんな進化型レベル2機能となるハンズ・オフだが、BMWが日本市場向けモデルに搭載を始めたのは2019年からだった。搭載に関するリリースは春先の3シリーズMCあたりから発表されていたが、本格的な搭載を宣言したのは同年夏の初め頃に発表された新型のフラッグシップSUV「X7」から。つまり、2022年秋には、すでに3年ほどが経つ計算になる。

【ハンズ・オフ機能を使うにはいろいろ条件がある:BMW X7リリースより(2019年6月24日】

これらのモデルにはBMWが国内認可取得モデルとして初めて導入したハンズ・オフ機能が搭載される*1。「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」とは、高速道路*2での渋滞時において、ドライバーの運転負荷を軽減し安全に寄与する運転支援システムである。この機能は、ドライバーが絶えず前方に注意するとともに、周囲の道路交通や車両の状況に応じて直ちにハンドルを確実に操作することができる状態にある限りにおいて、ステアリングから手を離して走行が可能*3となる。
注釈>
*1:顧客の要望に応じて、7月より当該機能を有効化するソフトウエアを提供する予定。
*2:高速自動車国道法に定める高速自動車国道、及び指定都市高速道路に分類される道路が対象。
*3:SAE International(Society of Automotive Engineers)が定めるレベル2の段階であり、自動運転ではなく、前方注視が必要となるなど、ある一定の条件が必要。

中古車の場合、キャリブレーションがズレている可能性も

しかもBMWはX7を皮切りに2019年夏以降から、3シリーズ以上の各モデルに順次、同じ機能の搭載を本格化(工場生産オプションもしくは販社アクセサリーとして提供)している。つまりこの頃からBMW車の多くは、非常にレベルの高い運転支援機能を備えているモデルがある、ということだ。それから3年を経た今、そろそろ中古車が普通に市場に流通し始めても不思議ではないだろう。

画像: ちなみにこちらは、同一車線内ハンズ・オフ機能を備えた「日産プロパイロット2.0」。技術概要の発表そのものは2019年の5月16日で、BMWよりもわずかに早く、ゆえに「世界初」を謳う。

ちなみにこちらは、同一車線内ハンズ・オフ機能を備えた「日産プロパイロット2.0」。技術概要の発表そのものは2019年の5月16日で、BMWよりもわずかに早く、ゆえに「世界初」を謳う。

もちろん、この機能がちゃんとついているかどうかは確認したほうがいいけれど、どうせ買うなら同年夏以降に製造されたモデルをまずは選ぶべきだと思う。高速道路で速度が60km/h以下、先行車がいる・・・という「渋滞時」対応に限定されてはいるものの、神経を使うシーンだからこそストレスのかかり方が違ってくるはず。長距離ツーリングでは疲れを軽減してくれるものだし、結果的に安全な移動につながってくるからだ。

購入時にひとつ注意したいのが、レベル2相当の運転サポートを支えてくれるセンサー類の精度確認だ。認定中古車なら安心感はもちろん高い。だが前オーナーが軽くでも改造していたものを純正仕様に戻していたり、大きな事故ではなくてもバンパーやガラス交換を行っていたりすると、カメラを始めとするセンサー類が正確にキャリブレーション(基準点を調整する作業)されていない可能性もありうる。

なにしろBMWのハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能は、カメラだけでも車両周辺監視用、中距離検知用、長距離検知用の3種類でサポートされている。レーダーやLiDAR、超音波センサーといったセンサー類との組み合わせによって、悪天候にも対応しうる能力を確保しているのだ。

そうしたセンサー類の感知に齟齬があったとしたら、安心してクルマの自律的制御に頼ることなどできるはずもない。そもそもハンズ・オフに限らず、衝突被害軽減ブレーキを始めとする先進安全運転支援機能は、けっして万能ではないのだ。

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