2022年9月26日、7代目となる新型シビック タイプRの試乗会がF1日本グランプリ直前の鈴鹿サーキットで行われた。FF市販車世界最速、「Ultimate SPORT」をコンセプトに掲げるその新型のドライビングダイナミクスはどのようなものか。テストドライブの模様をレポートする。

ピーク値を追わず、あえて最高出力330psにとどめる

テストドライブは前後の慣熟とクールダウンを除いて2周。プロドライバー操る先導車について行かなければならないので、必然的にサーキットパフォーマンスのチェックに終始することとなった。

画像: 「+R」はエンジンレスポンスやダンパー減衰力が高く設定されるの走行モード。それでも跳ねたりホイールスピンを起こすような状況にはならなかった。

「+R」はエンジンレスポンスやダンパー減衰力が高く設定されるの走行モード。それでも跳ねたりホイールスピンを起こすような状況にはならなかった。

同じ2Lから400psを遥かに超える最高出力を叩き出すAMG製ユニットを例に挙げるまでもなく、330psと先代比プラス10psに留まった数値は、ターボ付きエンジンとしてはむしろ控えめとも思えるもの。実際、開発陣によれば「自然吸気時代からの継続性も考え、シビックのタイプR用としては敢えてピーク値は追わなかった」と言うが、それでも十分パワフルだし速かったのは確か。

今回のようなドライ路面ではフル加速シーンでもトラクション能力に不満はなかったし、ハンドルに妙な反力やトルクステア感が伝わることもなかった。確かに、フロント2輪駆動のモデル用ということを考えれば、これ以上ピーク値を上げてピーキーな特性持たせるのは得策とは言えないのだろう。

完全舗装が施されたこのコースで今回のようなドライという条件に限れば、アクセル線形が最もレスポンシブでダンパー減衰力も最も強く設定される前出『+R』の走行モードでも跳ねたり過度のホイールスピンを起こすような状況にはならず、マッチングはなかなかの印象。ただし、一般路面やサーキットでもアンジュレーションが目立つような場面では、このセッティングはやや過激でありそう。

一方、短距離ながら本コースに入るまでの荒れた路面では、『コンフォート』のモードが望外な乗り味を示してくれた。このあたりは是非、今後の一般道走行で再度チェックをしてみたい部分である。(文:河村康彦/写真:井上雅行)

■ホンダ シビック タイプR 主要諸元

●全長×全幅×全高:4595×1890×1405mm
●ホイールベース:2735mm
●車両重量:1430kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1995cc
●最高出力:243kW(330ps)/6500rpm
●最大トルク:420Nm(42.8kgm)/2600−4000rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・47L
●WLTCモード燃費:12.5km/L
●タイヤサイズ:265/30ZR19
●車両価格(税込):499万7300円

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