ノーマル比10mmダウンの全高がワイド感と迫力を演出
新型シビック タイプRの試乗会が行われたのは鈴鹿サーキットのフルコース。日本グランプリでF1マシンが駆け抜けたのと同じコースで、路面はドライ。「スポーツカーの枠を超えたUltimate Sport」を標榜するこのモデルには、申し分のない舞台設定となった。
そんな「聖地」で対面したタイプRの伝統とも言える「チャンピオンホワイト」に彩られた新世代のシビック タイプRは、まずは予想した以上にワイド&ローな佇いが印象に残るものだった。
FFモデルとしては異例にファットなタイヤを収めるべくボディから張り出したフェンダーと踏ん張った4輪、そしてノーマル比10mmダウンの全高がワイド感と迫力を演出する。
時に「ガンダムちっく」などとも揶揄されたかつてのタイプRに比べると、新型のルックスは全般にスッキリまとめられた雰囲気。スポーツモデルゆえある程度の顕示性の強さは当然と理解しつつも、個人的にはちょっと気恥ずかしさを覚えた従来型に対し、新型にはさほど違和感を覚えることはなく「これならば街乗り/普段乗りシーンも無難にこなしてくれそうだナ」という印象を受けた。
ドアを開くとそこは心昂る空間。左右幅一杯に広がる特徴的なメッシュ状の空調吹き出し口など基本的なダッシュボードの造形は受け継いだものの、多面体形状が特徴のフロントバケットシート座面やカーペット部分が鮮やかなレッドで彩られ、さらにアルカンターラ巻きのステアリングホイールが奢られたことなどで、上質で華やかなイメージは満点。最もホットな『+R』の走行モードを選択した際のレーシーなメーターのグラフィックにも目を奪われた。
先代モデル比18%軽量を謳うフライホイールの採用で、心配したエンジン低回転域での扱い辛さは全く問題なし。アイドリング回転数+αの領域でもトルクの不足を感じさせられることはない。べース車両の出来の良さからある程度想定できたが、アルミ削り出しノブを採用のMT操作フィール、クラッチペダルに伝わるミート感やその踏力の調教レベルも「ゴキゲン」と言える仕上がりだ。