2021年ボルボ初のBEVとなるC40リチャージの販売を開始したボルボ。22年はXC40リチャージを導入し、BEVが2モデルとなった。ここではXC40リチャージと小変更を受けたC40リチャージの詳細を見ていこう。(Motor Magazine2022年12月号より)

環境を守ることは、大切な人を守る道につながっている

すでによく知られているとおり、ボルボは2030年までにプレミアムBEVVメーカーになることを目指しており、その途中経過として2025年に販売台数の半数をBEV(日本では45%)とすることを目標に掲げている。

画像: フレームレスグリルやバンパーなどフロントマスクはXC40リチャージ 、C40リチャージともに同じデザインを採用する。( XC40リチャージ アルティメット ツインモーター)

フレームレスグリルやバンパーなどフロントマスクはXC40リチャージ 、C40リチャージともに同じデザインを採用する。( XC40リチャージ アルティメット ツインモーター)

ここ数年、いくつもの自動車メーカーが同様の戦略を打ち出してきたが、その進展ぶりがわかりにくかったり、そもそも目標自体が不明瞭だったりするケースが少なくない。けれども、ボルボのストラテジーはシンプルかつ明確。そして世界情勢などに振り回されることなく、この目標に向けて着実に歩みを進めている。

ここで私の立場を明確にしておくと、自動車界全体があと10年ほどで全面的にBEVに移行しようとすることには強い違和感を覚える。これを実現するには、リソースの面でもインフラの面でも社会全体に大きな負担をかける恐れがあるうえ、地域的/経済的な理由によりエンジン車を選ばざるを得
ない人々から移動の自由を奪うことになりかねないからだ。

ただし、市場的にも価格的にも限定されたプレミアムブランドであるボルボが、全面的にBEVに移行するというのであれば納得できる。ボルボにとって、環境を守ることは人の未来を守ことであり、ボルボに乗っている大切な人を守ることと同様であるからだ。

さらに言えば、「人を中心に発想する」を企業理念のひとつとして掲げるボルボがいち早く全面BEV化に踏み切ることは、ブランドイメージの観点からいっても似つかわしいように思える。先進的な自動車メーカーの試みのひとつとして、ボルボの電動化戦略を温かく見守っていきたい。

そんなボルボが、21年秋に初のBEVとして日本市場に投入したのが2モーター仕様のC40リチャージツインだった。続いて22年3月にはそれよりベーシックなシングルモーターのC40リチャージを追加。その2カ月後にはXC40のBEVであるXC40リチャージを発表するなどして攻勢を強めてきた。

ちなみにこの順番、実は欧州では少し違っていて、先にXC40リチャージを発売してからC40リチャージを発表する流れだった。

BEV 購入者の多くはイノベーターの人々

C40を先行して発売した理由を、ボルボ・カー・ジャパンは次のように説明する。

画像: XC40リチャージの登場で、C40リチャージはクーペスタイルのクロスオーバーSUVとしてのキャラクターがより明確になった。( C40リチャージ プラス シングルモーター)

XC40リチャージの登場で、C40リチャージはクーペスタイルのクロスオーバーSUVとしてのキャラクターがより明確になった。( C40リチャージ プラス シングルモーター)

BEVをいち早く購入するのはイノベーターと呼ばれる人々で、彼らはBEVならではの世界観や加速性能を期待する一方で、価格設定に関しては寛容的。これに続いてBEVを購入すると見られるのがアーリーアダプターと呼ばれる層で、BEVBEVには強い関心を抱いているが、イノベーターほど価
格に寛容ではなく、BEV独特の世界観に対するこだわりも薄い。

つまり、一般的なエンジン車により近いキャラクターのBEVが好まれると言っていいだろう。

このボルボの判断に間違いはなかったようで、発表直後からC40リチャージに数多くのオーダーが
舞い込んだ。こうした傾向は、発売1カ月後くらいに沈静化したが、全国キャラバンに代表される丁寧なプロモーション活動を継続することで再びセールスは上向きに転じたという。

その後、XC40リチャージを発売すると、販売の主力はこちらに移ったものの、いまもC40リチャージは人気がありコンスタントに売れ続けている模様。こうした努力が効を奏し、CセグメントのプレミアムSUVでXC40は国内トップのセールスを記録しているそうだ。

これら2車種の販売が好調な理由はもうひとつある。彼らは、市場の動向などを見極めながら、車
両のスペックやモデル構成などをきめ細かく見直しているのだ。

こうした考え方は発売間もないXC40リチャージ、C40リチャージにも適用された。まず、パワートレーンの呼称を従来の「シングル」「ツイン」から「シングルモーター」「ツインモーター」に改め
るとともに、従来は「ベース」「モメンタム」「インスクリプション」という名称だったモデル構成を、「プラス」「プラス・プロ」「アルティメット」に変更したのだ。また、リチャージ系の外装を従来のRデザインに相当する「ダーク」にするとともに、C40リチャージの2トーンカラーを廃し、逆にXC40リチャージには2トーンカラーを設定するといった見直しも実施された。

XC60などに続いて、XC40のインフォテインメントにGoogleシステムが採用されたことも大き
なニュースのひとつである。

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