現行モデル発表日:2015年5月20日
車両価格:268万9500円〜342万2100円(価格は2022年11月17日の一部改良後のもの)
不変の人気を誇るライトウエイト オープンスポーツ
通算4代目となったロードスターは、ロングノーズ&ショートデッキのFRらしいスタイルとなった。オープン時のスタイルだけではなくソフトトップを閉じた時の見映えにもこだわっており、たわみを抑えるためにソフトトップのフロントセクションにはアルミ製のパネルを入れる工夫も施されている。
エンジンは先代(NC型)の2L直4から1.5L直4NAに小排気量化され、さらにアルミや超高張力鋼板といった軽量素材を用いたほか、アルミホイールを4穴とするなど徹底的に軽量化にこだわった。マツダの先進安全装備「i-ACTIVSENCE」も2018年6月の改良で導入された。
2021年12月の商品改良時に登場したロードスター990Sは、スタビライザーやLSDを採用しないベースモデルながらKPC(キネマティック ポスチャー コントロール)の採用で進化を果たしたモデルだ。もともとNDロードスターは荷重移動をわかりやすくして操る楽しさ実感させるという考え方があり、ベースモデルでは豊かで素直なサスペンションストロークで実現していたが、その一方で速度や負荷が高まっていくと挙動が大きくなりすぎてリアがめくれ上がるような姿勢になり、不安を感じることもあった。
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そこで990Sでは、リアサスペンションのアンチリフトジオメトリー(減速時に沈み込もうとする特性)を利用し、コーナリング時にリアのイン側に微細なブレーキをかけてめくれ上がることを抑制するKPCを採用。リアの左右輪の回転差を感知して作動するもので、LSDがターンインで姿勢を安定させるような感覚にも似ている。実際にKPCのない従来モデルと乗り比べるとリアの安定感が増して、とくに中・高速コーナーでの安心感が高まった。
KPCでのブレーキ液圧は最大0.3Mpaと極小のため作動は感知されず、またブレーキでLSD効果を出すものとは違う。あくまでアンチジオメトリーを利用してリアのイン側を下方に沈み込む力を与えるものだ。ブレーキを利用するシステムなので、ブレーキングしながらターンインしていくコーナーでは効かないが、そういった場面でも990Sは姿勢の安定感が増していた。
それはスプリングレートを変更し、従来モデルに比較すると相対的にフロントが硬くなっているからだ。ダイアゴナルの動きが抑制されて高い速度でアプローチしやすくなった。
マツダが各車種に積極的に採用しているGVC(Gベクタリング コントロール)もそうだが、新たなデバイスを使わずに性能向上を図るのが最近のマツダの面白いところ。ソフトウエアの変更だけなのでパーツや機構を追加した場合とはことなり重量増を招かないだけでなくコストも抑えられる。
また人工的な制御感もないまま人知れず一体感が高まるというのが素晴らしい。KPCはCX-60をはじめとしたFRベースの4WDや直6エンジンを採用する新世代のラージ商品群でも展開されている。というよりもKPCを前提に、アンチジオメトリーを強めて効果を高めているので、一体感のあるコーナリング性能を披露してくれるだろう。ロードスター990Sには今後のマツダ車の可能性も感じた。
マツダ ロードスター 主要諸元
●全長:3915mm
●全幅:1735mm
●全高:1235mm
●ホイールベース:2310mm
●車両重量:990~1060kg
●エンジン:1.5L直4
●駆動方式:FR
●トランスミッション:6速MT/6速AT
●WLTCモード燃費:16.8~17.4km/L
●乗車定員:2名