クルマは長く乗れば乗るほど見えてくるものがある。これまでいくつものエンジン搭載モデルを長期にわたってレポートしてきたが、今回からスタートした長期レポート車は電気自動車(BEV)である「DS3クロスバック Eテンス(DS3 CROSSBACK E-TENSE)」だ。第1回ということでまずはクルマの解説を交えてレポートしていこう。(Motor Magazine 2022年2月号より)

BEVとどう付き合うか、これから模索していきたい

社会的命題である「カーボンニュートラルな社会の実現」に向けての方策のひとつに、電気自動車の普及が挙げられているが、とうとうモーターマガジン長期レポート車も新たなステージに入る。今回からレポートを担当するのはエンジンを搭載した歴代レポート車とは異なる初のBEV、DSのコンパクトSUV「DS3クロスバックEテンス」だ。これからどんなことが待ち受けているのか、ハラハラドキドキである。

さて、フランスプレミアムブランドのDSは電動化ブランド「Eテンス(E-TENSE)」を展開している。日本市場においてはPHEVのDS7クロスバック Eテンスのほかにもうひとつ、BEVのDS3クロスバック Eテンスも用意する。(編集部註:現在は上記2車種に加え、DS4とDS9にもPHEVのEテンスモデルをラインナップする)

今回、長期レポート車として導入したのがこのBEVだ。ガソリンエンジンを搭載したDS3クロスバックとまったく同じディメンジョンで、4120mmの全長と1790mmの全幅により、取り回しやすいサイズ感を持つ。

画像: テールパイプが存在しないことは当然だが、これ以外にデザイン的な電気自動車らしさは少ない。

テールパイプが存在しないことは当然だが、これ以外にデザイン的な電気自動車らしさは少ない。

また、クロスバックの名称のとおりクロスオーバーSUVだが、FWDで、クルマのまわりをぐるりと歩いてみても、そのシルエットは「ちょっとだけ背の高いハッチバック」で、SUVらしさは薄い。

ただディテールを細かく見ていくとデザインのこだわりようがよく見えてくる。くびれるような曲線を描くヘッドライトや、水面から立ち上がる波のような形状をしたリアドアパネルなど、とにかく個性の強いデザインをしているのだ。そのためか、高速道路のPA/SAで充電していると、横を通るクルマから目を向けられることもしばしば。

あと、このデザインの面白いところは、外観から「BEVらしさ」をまったく感じられないことだ。これまで登場したハイブリッド車やBEVは、「環境に優しい」というイメージを持たせるためか青のアクセントカラーを配色されることが多い。しかし、このDS3 Eテンスにそうした装飾は皆無だ。

以前に聞いた話だと、日本のユーザーは「電動車らしさをデザインで強調することを好まない」らしい。そうした傾向のある日本市場において、フロントグリルですらもICE(エンジン)搭載モデルと同様に開口しているDS3は、需要に合ったクルマなのかもしれない。

話は変わるが、私の自宅に充電設備はなく、長時間充電できる場所といえば200V充電器を備える編集部のガレージだけだ。そこで、DS3 Eテンスが来る前に行ったのは、自宅周辺と往復経路にある充電設備の確認、そして「EV充電スポット検索アプリ」をスマホにインストールしたことだ。

勢い余って6つも入れてしまったのでどれが使いやすいのか、またどんなシーンに合うアプリなのかこれから検証する必要がありそうだ。

画像: スマホにインストールしたEV充電スポット検索アプリのひとつ「EVsmart」。表示画面は東京 新橋周辺だからか、充電施設も多く表示される。

スマホにインストールしたEV充電スポット検索アプリのひとつ「EVsmart」。表示画面は東京 新橋周辺だからか、充電施設も多く表示される。

第1回/2021年12月10日〜12月15日(1カ月目)のデータ
・オドメーター:412km
・当月の走行距離:397km
・充電量:約82.5kWh
・充電回数:5回(200V普通充電を3回、25kW急速充電を2回)
・電費:約4.81km/kWh

DS3 クロスバック Eテンス 主要諸元

●全長×全幅×全高:4120×1790×1550mm
●ホイールベース:2560mm
●車両重量:1580kg
●モーター:交流同期電動機 ZK01型
●最高出力:100kW(136ps)/5500rpm
●最大トルク:260Nm/300-3674rpm
●バッテリー総電力量:50kWh
●JC08モード航続距離:398km
●0→100km/h加速:8.7秒
●最高速度:150km/h
●駆動方式:FWD
●タイヤサイズ:215/55R18
●車両価格:559万3000円(2022年11月現在)

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