2022年11月、マツダの3列シート SUV「CX-8」が大幅商品改良された。ほぼ同時期に、ステランティス ジャパンは3列シート SUVのニューモデル「ジープ コマンダー」を日本に導入した。ここでは2台を比較するわけではないが、3列シートのSUVについて考察してみたい。

インポートSUVでも、リーズナブルな3列シート車を!

さて、輸入車ではラージサイズのSUVも多く日本に導入されており、その余裕のサイズから3列シートを採用しているモデルはけっこうある。だが、いずれも1000万円前後(もしくは、それ以上)のプライスタグが付けられている高級モデルが多い。扱いやすいサイズのモデルとしてはメルセデス・ベンツ GLB(およびEQB)があるが、安全上の理由から3列目シートの対応身長はGLBが168cm以下、EQBが165cm以下となっている。

画像: 日本仕様のコマンダーは「リミテッド」のみのモノグレードだが、サンルーフやパールコートがオプション設定されている。

日本仕様のコマンダーは「リミテッド」のみのモノグレードだが、サンルーフやパールコートがオプション設定されている。

ジープのラインナップでもグランドチェロキーLは3列シートを採用しているが、全長は5.2mもあるし、車両価格はヨーロッパ製の高級SUVより安いとはいえ、800万円オーバーとなる。

2021年末でチェロキーの日本仕様は生産を終了したため、その後継モデルとして日本に導入されたのが、「コマンダー」だ。サイズ的にはCX-8より全長とホイールベースは15cmほど短いが、全幅と全高はほぼ同じ。日本の街中でも比較的扱いやすいサイズで、3列シートの7人乗りを採用している。

しかも、パワーユニットはジープ ブランドでは初採用のディーゼルエンジン。コマンダーはコンパスのプラットフォームを延長して誕生した、横置きFFベースの4WD(この成り立ちはCX-8と似ている)となっている。排気量は2Lだが1750rpmから最大トルクの350Nmを発生し、電子制御9速ATにアイドリングストップ機構も備えるから、経済性はかなり高そうだ。

エクステリアはグランドチェロキーの弟分といった、SUVらしい力強さを感じさせるもの。インテリアもメーターパネルはマルチビューディスプレイやスマホ対応のタッチパネルモニターを備えるなど、グランドチェロキーと似た雰囲気だ。

画像: 3列目はおとなが座ると、少し「体育座り」的なポジションとなるが、スペース的にはCX-8とほとんど変わらない。

3列目はおとなが座ると、少し「体育座り」的なポジションとなるが、スペース的にはCX-8とほとんど変わらない。

CX-8のトップグレードよりも100万円近く高いが、大型インポートSUVに比べれば価格差は小さい。3列目シートの広さも、CX-8とほぼ同じレベルだ。しかもリクライニング機構も備わっている。「一生もの」とは言わないけれど、永く付き合えそうだから、ちょっと無理して手に入れても満足度は高いだろう。

ジープのスタイリングや悪路走破性、そしてそのフィロソフィ「Go Anywhere. Do Anything.(どこにでも行ける。何でもできる)」が気に入って、いつかは・・・と思っていたけれど、結婚して家族が増えてミニバンしか選択肢がなかった、なんて嘆いていた人には、コマンダーは格好の1台かもしれない。

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