「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、ホンダ N-BOX(初代)だ。

出来がすごく良いだけに気になる部分もある

画像: 写真は64psと104Nmを発生するターボエンジン。CVTと組み合わされ、FFと4WDとも設定される。

写真は64psと104Nmを発生するターボエンジン。CVTと組み合わされ、FFと4WDとも設定される。

少々気になるのが、最量販モデルになりそうなカスタムL。というのも、このエンジンはNAでも非常に元気が良く、しっかりとパワーを出しつつエコ運転に気を遣わずともかなり好燃費。高速でも交通の流れを先導できるほど、速度が乗っていく。そうなると、若干タイヤが物足りない。これが13インチだと高い速度域でコーナリング、なんて気にならないので問題ないのだが、14インチだとけっこう行けてしまう分、もう少しタイヤに余力が欲しい。

ちなみに速度が乗るだけあってブレーキ性能は絶品で、踏みごたえやコントロール性は抜群。カックンブレーキにもなりにくく、同乗者に褒めてもらえること請け合いだ。しかしその減速時に、ややCVTの段付き感があるのは残念。エンジン音も少し気にかかる。80km/hでのエンジン回転数は、メーター読みでNAは約2500rpm、ターボは約2100rpmとさほど高くはないが、アイドリングストップが付いているおかげで、逆に静粛時との落差が大きくて気になる。全体の質感が高いだけに、もう少し静粛性が欲しい。

質感と言えば乗り心地はなかなかのもので、これにはシートが大きく貢献している。女性が乗って当たりが柔らかく、男性が乗っても底付きしないことを目明日というシートは、確かに肌触り&包まれ感&サポート感が良く、滑りにくくていい。

もうひとつの美点は、ホンダがこだわり続けている視界の良さ。Aピラーまわりの視界の工夫や、合わせ鏡を使って左前や左横、真後ろを映し出すピタ駐ミラーのおかげで、全方位視界が保たれている。しかも、自然と目がいくところにミラーがあるので使いやすい。斬新なアイディアを盛り込んで、二大巨頭に挑むN-BOX。軽自動車のさらなる発展のために、ぜひ大暴れを期待したい。

画像: G・Lパッケージ。タイヤサイズは145/80R13で、スチールホイール+カバーが標準となる。

G・Lパッケージ。タイヤサイズは145/80R13で、スチールホイール+カバーが標準となる。

ホンダ N-BOX カスタムG・ターボパッケージ 主要諸元

●全長×全幅×全高:3395×1475×1780mm
●ホイールベース:2520mm
●車両重量:980kg
●エンジン:直3 DOHCターボ
●総排気量:658cc
●最高出力:47kW(64ps)/6000rpm
●最大トルク:104Nm(10.6kgm)/2600rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:レギュラー・35L
●JC08モード燃費:18.8km/L
●タイヤサイズ:165/55R15
●当時の車両価格(税込):166万円

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