「T」ならではの徹底的な軽量化への取組み
今回、最新型911に新しく加えられた「カレラT」は、まさにそのスポーツスピリットに沿ったモデルである。搭載される3L水平対向6気筒エンジンの最高出力は385ps、最大トルク450Nmと標準カレラ用と変化はない。
ただし組み合わされるトランスミッションは7速MT(8速DCTも設定あり)で、このモデルの
シンボリックなアイコンである空車重量はEU値で1545kgに抑えられている。軽量化は7速MT
に加えてスポーツシート、軽量バッテリー、後席の取り外し、軽量ガラス、そして防音材の簡略化
などによって達成されている。
一方で、走りに徹するための装備としてPASM(ポルシェアクティブサスペンションマネージメント)、PTV(ポルシェトルクベクトリング)、スポーツクロノパッケージ、そして10mmローダウンしたスポーツシャーシ、スポーツエキゾーストシステム、さらにチタニウムグレーのホイールにはフロント245/35ZR20、リア305/30ZR21サイズのタイヤが標準で用意されている。
エクステリアデザインではスポイラーなどの大げさな空力的付加物はないが、ドアミラーや前後
フィニッシャー、ウインドウトリムなどは濃いグレーで仕上げられる。望めばドア下部を911カレラTのロゴで飾ることもできる。
個人的には、いまだに慣れないリトラクタブルドアハンドルを引いて、4ウエイアジャスタブルのドライバーズシートに腰を落とす。
左手でイグニッションノブを捻ると、聞き慣れたボクサーエンジンの咆哮がスポーツマフラーを介して耳に届く。長さが10mm短縮されたシフトレバーでローを選び、軽いクラッチペダルを離すとカローラ並みの重量に2倍のパワーを与えられた911Tは軽快な加速を開始した。