標準モデルに比べて軽量バージョンであるカレラTのルーツは1968年に遡る。ツーリングカーとしてホモロゲーションを得た911カレラTは、モンテカルロラリーで優勝。それ以来、カレラTは911シリーズに欠かせないモデルとなり、最新型でも登場した。(Motor Magazine 2023年1月号より)

生き生きとしたエンジン音に軽快な加速と心地良い走り味

それは私がかつて経験した単発セスナのような印象で、生き物が息づくかのような6気筒ボクサーのビートを伴っている。しかも頭打ちではなく、シフトアップする度にどこまでも続くかのようなフィーリングで、速度計の数字はアッという間に上昇してしまうので、ブレーキングでスピードを落とす。

画像: 4ウェイ電動調節機構付きスポーツシートプラスが標準装備。超軽量バケットシートも用意される。

4ウェイ電動調節機構付きスポーツシートプラスが標準装備。超軽量バケットシートも用意される。

カリフォルニア州では、多くのドライバーが制限速度+10マイル以上のオーバースピードで走行しているが、交通警察は上空から監視しており注意が必要だ。私の乗っているのはポルシェで、ボディカラーも派手な色ゆえ目を付けられやすい。

目的地のエンジェルスクレストハイウエイのワインディングロードには、シボレーコルベットやダッジチャレンジャー、さらにはスバルSTIなどの走り屋が数多くいたが、911Tでは向かうところ敵なし。誰もが、道を譲ってくれた。

市街地へ戻って気になったのは、アイドリングストップからの再スタートで常に大きな機械的なショックを伴うことだ。ポルシェは重量増加を理由に、頑なにMHEVシステムを採用しないために起こる現象で、軽量化を売りにするこのTモデルではとくに論外なことがわかるが1000万円を軽く超える高級車にゴルフよりも安っぽい動作はまったく似合わない。

もっともスイッチオフしておけば済む話であり、さらにPHEVあるいはBEVへと進化すれば消え去る問題だが、私には納得が行かない。

今回、8速DCT仕様も試乗したが、こちらはMT仕様に対して25kgの重量増なので、標準仕様の911カレラとほとんど変わらない。Tモデルを選択するのであれば、7速MTを選択すべきだ。

さて、このライトウエイト仕様であるカレラTの価格だが、ポルシェジャパンは7速MTあるいは
DCTのどちらでも1640万円と発表しており、すでに予約受注を始めている。デリバリーはドイツでは23年2月から始まり、日本では春頃からとなる見込みだ。(文:木村好宏/写真:ポルシェAG、キムラ・オフィス))

■ポルシェ 911カレラT 主要諸元

●全長×全幅×全高:4530×1852×1293mm
●ホイールベース:2450mm
●車両重量:1545kg(EU準拠)
●エンジン:対6DOHCツインターボ
●総排気量:2981cc
●最高出力:283kW(385ps)/6500rpm
●最大トルク:450Nm/1950-5000rpm
●トランスミッション:7速MT
●駆動方式:RR
●燃料・タンク容量:プレミアム・64L
●WLTPモード燃費:9.2-9.7km/L
●タイヤサイズ:前245/35R20、後305/30R21

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