標準モデルに比べて軽量バージョンであるカレラTのルーツは1968年に遡る。ツーリングカーとしてホモロゲーションを得た911カレラTは、モンテカルロラリーで優勝。それ以来、カレラTは911シリーズに欠かせないモデルとなり、最新型でも登場した。(Motor Magazine 2023年1月号より)

「T」ならではの徹底的な軽量化への取組み

今回、最新型911に新しく加えられた「カレラT」は、まさにそのスポーツスピリットに沿ったモデルである。搭載される3L水平対向6気筒エンジンの最高出力は385ps、最大トルク450Nmと標準カレラ用と変化はない。

画像: カレラTはスポーツシャーシにスポーツエキゾーストシステムも標準装備。後輪操舵機構も装着できる。

カレラTはスポーツシャーシにスポーツエキゾーストシステムも標準装備。後輪操舵機構も装着できる。

ただし組み合わされるトランスミッションは7速MT(8速DCTも設定あり)で、このモデルの
シンボリックなアイコンである空車重量はEU値で1545kgに抑えられている。軽量化は7速MT
に加えてスポーツシート、軽量バッテリー、後席の取り外し、軽量ガラス、そして防音材の簡略化
などによって達成されている。

一方で、走りに徹するための装備としてPASM(ポルシェアクティブサスペンションマネージメント)、PTV(ポルシェトルクベクトリング)、スポーツクロノパッケージ、そして10mmローダウンしたスポーツシャーシ、スポーツエキゾーストシステム、さらにチタニウムグレーのホイールにはフロント245/35ZR20、リア305/30ZR21サイズのタイヤが標準で用意されている。

エクステリアデザインではスポイラーなどの大げさな空力的付加物はないが、ドアミラーや前後
フィニッシャー、ウインドウトリムなどは濃いグレーで仕上げられる。望めばドア下部を911カレラTのロゴで飾ることもできる。

個人的には、いまだに慣れないリトラクタブルドアハンドルを引いて、4ウエイアジャスタブルのドライバーズシートに腰を落とす。

左手でイグニッションノブを捻ると、聞き慣れたボクサーエンジンの咆哮がスポーツマフラーを介して耳に届く。長さが10mm短縮されたシフトレバーでローを選び、軽いクラッチペダルを離すとカローラ並みの重量に2倍のパワーを与えられた911Tは軽快な加速を開始した。

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