現行モデル発表日:2020年7月15日
車両価格:539万円(現在FWDモデルのみラインナップ、受注停止中)
日産の量販市販BEV第2弾は、ただのBEVではなく新しい道の乗りもの
日産史上最大のBEV。グレード構成はバッテリーの総電力量で分けられ、66kWhの「B6」、91kWhの「B9」を設定。それぞれにFWDと4WDを用意する。4WDはe-4ORCE(イーフォース)と名付けられたシステムで、走行状態に合わせて前後輪のトルク配分を最適化することができる。先進的なインテリアも大きな注目点だ。
今回試乗したモデルはFWDの「B6」で、バッテリー総電力量は66kWhのもっともベーシックなグレードだ。駐車場に停めてあるB6はとても堂々とした佇まいだ。ボディサイズを数値で見ると今どきのミドルSUVとしては特別に大きいというわけではないのだが、凹凸が少なくツルッとして大部分がブラックアウトされているフロントマスクが醸し出す独特の存在感が、そう思わせるのかも知れない。
ドアを開けると、その車内に驚いた。ダッシュボードは床とつながっているか接しているものだと思っていたが、アリアのダッシュボードは宙に浮いているようにセットされている。シフトセレクターが大きなアームレストの前端に配置されているのも新鮮だ。このシフトセレクターの配置のおかげで運転席と助手席の間を遮るものがなくなり、左右方向のウォークスルーも可能だ。さらに前席の大型アームレストは電動で前後位置を調整できる。
さらに驚いたのは、物理スイッチがかなり省かれていることだ。また、操作感もとても新鮮だった。シフトセレクターの手前に配置されている走行モードの切り替えを示すアイコンにタッチすると、押した部分がブルっと震えて反応するのだ。
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アリアの走り出しは粗暴ではないが力強い。アクセルペダルを踏んだ途端に加速し、得体の知れない強大な力にクルマを後ろから押されているような感覚だ。また既存のエンジン車やハイブリッド車よりもずっと滑らかだ。「もしアラジンの魔法の絨毯に乗って飛べるとしたらこんな感じなのだろうか・・・」などと想像してしまうほど、なんとも不思議な加速感だ。
都内に向かうべく横浜の市街地から首都高に入り約30分後、25kmほど走って気づいたのは、バッテリーの減りがとても緩やかなことだ。出発時に100%だったバッテリー残量はこの時点で98%。約70km/h巡航の省エネ走行で、しかもプロパイロットを使い半自動運転で走行していた効果かも知れないが、それにしてもこの電費は優秀だ。リーフなどで培ってきた電力マネジメント技術のおかげだろう。
乗り心地がやや硬いと感じるシーンもあったが、B6より重いB9や4WDであれば印象は変わるかも知れない。日産 アリアは単なる新型BEVではなかった。その車内のしつらえと走りはまさに「新しい乗り物」だった。
日産 アリア 主要諸元
●全長:4595mm
●全幅:1850mm
●全高:1655mm
●ホイールベース:2775mm
●車両重量:1920〜2200kg
●パワーユニット:モーター×1基/モーター×2基
●駆動方式:FWD/4WD
●トランスミッション:ー
●一充電走行距離:470km(B6)
●乗車定員:5名