デビューイヤーをスーパーGT500タイトル奪取で飾った新型Zのイベントも!
もうひとつのメインイベントは、2022年のデビューイヤーにスーパーGT選手権でチャンピオンを獲得するという、最高の形で終えたスーパーGT500仕様の新型フェアレディZ。「NISSAN MOTORSPORTS HERITAGE RUN ~Z is back in the race~」だ。
星野一義監督率いるCALSONIC IMPUL Zは、当日の注目度No1で、パドック側のカルソニック インパルブースも終日長蛇の列で賑わっていた。
それもそのはず、チームIMPULとしては1995年以来、27年振りのシリーズタイトル奪取。今季の第5戦・鈴鹿ラウンドでは、クラス最後尾からのスタートで、見事な逆転優勝を飾り、シリーズ首位に躍り出ると、その後も順調にポイントを重ね、最終戦・もてぎでは決勝2位でゴール。ワークスのNISMOを差し置いて、新型Zのデビューイヤーチャンピオンを勝ち取ったのだ。
2002年のニスモフェスティバルでの引退セレモニーで観衆を沸かせた「星野ラストラン」から20年、古くからの星野一義ファンや、若きチャンピオンドライバー・平峰一貴/ベルトラン・バケットのファンにより、ブースは大きな盛り上がりを見せていた。
社内実験部チームによるR32GT-RN1耐久レース参戦車両も!
他にも、2006年から毎回、ニスモフェスティバルでお披露目される「日産名車再生クラブ」によるヘリテージカーのデモランも注目を集めた。
この「名車再生クラブ」というのは、日産の厚木のテクニカルセンターの各部門の有志を中心に編成されたチーム。毎回、日産車の記念碑的なモデルを採り上げて各部を手弁当でレストアし、その晴れのお披露目の舞台として、このニスモフェスティバルでのデモランを行ってきている。
毎回、テーマを持って車種は選定しているようだが、今年は1990~1992年に社内テストドライバーのさらなる評価能力向上を目的に、N1耐久レースに参戦したR32スカイラインGT-R N1耐久仕様車が選ばれた。
約1年前からレストア作業が行われたというマシンは、11月のシェイクダウンを経て、その有志を約30年振りに再びサーキットに表した。
ちなみに、当時のチーム監督はR32スカイラインの実験主担を務め、後のR33/R34スカイラインの商品企画主観を務めた渡邉衡三氏。ドライバーは実験部の「トップガン」として有名な加藤博義氏とR35GT-Rの開発でお馴染みの松本孝夫氏、神山幸雄氏らという、そうそうたるメンバーである。
イベント当日は、レジェンドレーサーの和田孝夫氏のドライブで、その蘇った走りを富士のコースで披露、ファンの注目を集めた。
新型Zのサプライズを期待したが、それはもしや、年明けのオートサロンで!?
そしてイベントの最後を締めくくったのは、恒例となったカテゴリー混走模擬レース「NISMO GP 2022」。様々なカテゴリーのレーシングカーが一同にコースを疾走する様は、往年のレースファンから、若いレースファンにまで人気のコースイベントだ。
12月初旬にしては日中の気温も比較的暖かく、終日好天に恵まれ、第23回ニスモフェスティバルは盛況のうちに幕を閉じた。そして来シーズンのレース活動にファンの期待がかかる。
ただ正直に言うと、3年振りのニスモフェスティバルというわりには、いまいち盛り上がりに欠ける印象もあった。観客数自体は増えてはいるが、2022年はせっかくの新型Z登場の年、しかもスーパーGTでの感動的なデビューウインを飾った年である。
思い起こせば、2001年のニスモフェスティバルでは、Z33のデビューイヤーの1年前に、当時の社長であるゴーン氏がZ33プロトをドライブしてコースをパレードした。隣に乗っていたのはミスターKこと故・片山豊氏である。
その意味で、今回も何らかのサプライズを期待したのだが、23回目という節目にしてはいささかモノ足りない。
・・・と、そんなことを思っていたところ、日産があのオレンジのZカスタマイズプロトの市販バージョン「FAIRLADY Z CUSTOMIZED EDITION」を東京オートサロンで公開することを発表したのだ。
もしすでに出展を決めていたのであれば、ニスモフェスティバルの舞台でティーザーというか、ニオワセぐらいはしても良かったのでは?とも思うのだが・・・。とはいえ、2023年早々から日産と新型Zから目が離せない。(文:竹内俊介/森田浩一郎・写真:井上雅行)