スバル BRZ(2011年:初代プロトタイプ)
トヨタ 86と共同開発された、スバル BRZ。水平対向エンジンを搭載したスポーツカーという、その挑戦的なマシンに、スバルはボクサーエンジンの「B」、リアホイールドライブの「R」、そして究極を意味する「Z」を組み合わせて「BRZ」と名付けた。市販間近なBRZの最終プロトタイプに試乗できたのは、テクニカルなサーキットである袖ケ浦フォレストレースウェイ。試乗時間は限られているので、さっそく乗り込むことにする。
ややストロークが長く、拍子抜けするほど軽いクラッチペダルをミートしてスタート。コースインするとすぐに、1速でスロットルを全開してフル加速に移る。だが、インプレッサWRX STIのような強烈で刺激的な速さはない。無理もない、むこうはターボで武装しているのだから。それでも、ノンターボらしいキメが細かく、わかりやすいピックアップの鋭さは魅力的だ。
2速から3速へシフトアップ。3速までのギアにはトリプルコーンシンクロが採用されているので、つながりはとてもダイレクトで信頼感もある。4速へ入れたとき、ちょっとギクシャク感を感じた。エンジンンは加速方向にはピックアップが素晴らしいが、アクセルオフによって落ちる方向にはややダルだ。このあたりは、たとえば軽量フライホイールに変えてみるといいかもしれない。
限界に近い領域まで攻め込んでいくと、BRZはその本性を現し始めた。まず1コーナーは、4速全開からフルブレーキ。フロントがノーズダイブしていくが、このときリアにもしっかりと荷重が残っていて、エンジン&トランスミッションが可能な限り車体中央に集められたメリットを感じられる。ブレーキングの姿勢が比較的安定していて、強烈な前のめりにならない。そして3速にダウンシフトしてステアリングを切り込むと、初期にフロントが沈み込むようにややロールを伴いながらヨー方向(横方向)のモーメントが発生、路面をしっかりとつかむようにコーナリングが始まる。